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2021年6月16日 (水)

坂本龍一の最終楽章

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 2012年から5年間、スティーブン・ノムラ・シブル監督が坂本龍一に密着取材して完成させたドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto : CODA』。日常の思索と独自の創作過程を、つまり極めてプライベートな"生”坂本を記録している。大病のことを含めて、あまり人には見せたくない部分でしょうけれど、よく撮らせたと思います。

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 世界を席巻したYMO。「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」の音楽。NY同時多発テロ、東日本大震災と原発事故。時代から影響を受け、また時代に影響を与えながら、いろんな時の先端を生きてきた。「アーティストやミュージシャンは炭鉱のカナリアのようなものだから、感じるんだよ」と言い、社会的発言も躊躇しない。

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 津波ピアノに唯一無二の個性を認め、雨音に神経を集中させ、シンバルをバイオリンの絃でこする。楽器=人工の音で作り上げるのが音楽だ、という考えから自由になった坂本龍一は、楽器以外の音にも関心を向け、音源を求めて世界中を旅する。北極圏の氷の音。枯れ葉の森を歩く足音。そして音から音楽が立ち上がる。

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 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトウ監督「レヴェナント」の音楽やアルバム『async』については、創作の秘密を知った(つもりの)興奮でゾクゾクする。製作がこのドキュメンタリーの撮影中の事なので、まさに同時進行。語られるエピソードも生々しい。音楽が生まれてくる現場に立ち会えてよかった。(じつは映画を観ただけ)

Async

 この映画は妙に創造意欲を刺激するのだ。音楽でも美術でもいいから、無性になにか作りたくなりました。坂本龍一さんが「決まりなんてない。自分が好きなように自由にやればいい」と背中を押してくれている気がする。才能などなくても。創造の神が下りてこなくても。無から有を生み出す喜びを、自分だけの楽しみとして。

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