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2021年5月 1日 (土)

ウッディ・アレンの夢物語

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 ハリウッドの脚本家ギルが遭遇した、天に舞い上がるほどうれしいタイムトリップ。ウッディ・アレン監督・脚本の『ミッドナイト・イン・パリ』は大人のファンタジーです。自分をギルに置き換えて、純粋に自身の願望だけで作った魔法のような作品。アート好き、文学好きにはたまらない魅力がいっぱい散りばめられています。

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 婚約者とその両親とともにパリに滞在中。彼は憧れのパリに住み小説家として生きたいと願っている。婚約者は「脚本家で売れているのだからいいじゃないの、パサディナに住むことに決めているのだし」と、パリなど眼中にない。彼女とお金持ちの両親は、文化や歴史には無関心。西海岸の軽薄さが嫌いなアレンらしい設定。

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 ある夜ディナーのあと迷子になっている時に、停まったクルマに乗せられてパーティに連れていかれるギル。誘ったのはフィッツジェラルドとゼルダの夫婦⁉ そこで紹介されるのはヘミングウェイ⁉ ピアノの弾き語りで歌っているのは、なんとコール・ポーター⁉ 理由は分からないけれど、1920年代にタイムスリップしたようだ。

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 ギルは書いている小説をヘミングウェイに読んでくれるよう頼む、勇気を出して。それは断られるが、ガートルード・スタインのサロンへ連れていってくれる。そこで会ったのはピカソと愛人のアドリアナ。有頂天になった彼は毎夜0時のタイムトリップに出かけては、ダリ、ルイス・ブニュエル、マン・レイ、T.S.エリオットらと親交を結ぶ。

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 妖艶な美女アドリアナと親しくなったギルは、いっしょに1880年代のベルエポックへ。ムーランルージュでカンカンを見てロートレックやドガやゴーギャンと会話を楽しむ。夢見心地の彼女はもう1920年代には戻りたくないと言い出す始末。そういやぁロートレックやゴーギャンはルネサンスに生まれたかったと言っていた。

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 みんな昔のほうが良かったと思ってる? たんなる懐古趣味? でも人物も出来事も昔のことはすでに知識として知っているから上手くやれる、と思うのではないでしょうか。自分も歴史の一部になったような気分で。ギルが書いている小説の主人公も骨董道具屋だ。古き良き時代とキラ星のような才能へのあこがれと敬意。

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 雨のパリが美しい。夜のパリが美しい。アンバー気味の映像も、しっとりとした情感を醸し出している。さて夢のような体験に心震わせるギルは、魔法の世界から無事に戻れるでしょうか。ハリウッドの脚本家をやめ小説家となって本物の創造をしたい男の物語が、アカデミー脚本賞を獲得したのというのも洒落が利いていますね。なおポスターに使われているゴッホには会っていません。

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