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2021年5月24日 (月)

じっくり、横尾作品

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 お葬式の鐘のような、金属がぶつかるような、なにか不穏な音が聞こえている。会場にただならぬ空気をもたらしていたモノの正体は。別室に展示された『来迎図』。鳴り響く音やフラッシュライトの閃光に包まれた室内、壁面にかかる高さ227.3cm×幅145.5cmの作品。キャンヴァスに貼り付けられたストロボや茶こしや竹トンボ。

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 輝く光をまとってあの世からやってきた仏さま。まわりには骨もいっぱい貼り付けられている。仏と骨はとても近い関係だとは同感です。音も光も物質も駆使した、平面絵画におさまらない総合芸術。1983年の展覧会に出品された、横尾さんらしい自由奔放な作品を、数十年を経て修復しライトやスピーカーも交換したそうです。

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 自転車で夜道を走る特攻隊を思わせる服装の男。ホタルのようにちりばめられたのは、昔の卒業アルバムから切り抜いた級友たちの写真。『お出かけは自転車で』は、自分と家族のスナップ写真をコラージュした作品と2点で1組です。横幅364cm。少年時代や若き日々の記憶を掘り起こす彼の作業は、死のイメージがつきまとう。

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 組み合わされた風景に顔の輪郭が浮かんでくる。ブッシュとフセインが描かれた1991年の作品で『時代の肖像』。血が流れているように見えるのは赤い布。背景には滝のモチーフも。つねに今を生きている横尾さんらしい作品です。コロナ禍にマスクをつけた肖像を発信し続ける現代の姿とダブってきます

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 別々の絵を描いた複数のキャンヴァスを切り裂いて、タテ、ヨコ、ナナメに編み込んで再構成する実験。1980年代後半、横尾さんはこの手法で盛んに制作していました。イメージの断片が文字通り立体的に立ち現われ、不思議な世界を創り出している。もともと要素の多い横尾作品をさらに饒舌にしていました。今見ても新鮮です。

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横尾忠則展 Curators in Panic
学芸員危機一髪
2021年3月27日(土)~8月22日(日)
Y+T  MOCA
横尾忠則現代美術館

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