« 雨と、雪と、ニューヨーク | トップページ | 聖パウロの愛と赦し »

2021年3月19日 (金)

現代アートは胡散臭い?

   Photo_20210316142101   

 ジャックソン・ポロックやマーク・ロスコ・・・。20世紀を代表する現代アートの巨匠たちの贋作詐欺事件をめぐるドキュメンタリーが衝撃的だ。バリー・アヴリッチ監督の『MADE YOU LOOK』。逆向きに「a true story about fake art」と洒落たコピーがついている。現代アート作品の価値とは何か、を考えさせられ興味深い。

Photo_20210316142102

 その事件が起きた舞台は165年の歴史を誇るNYの老舗ギャラリー。1994年から2011年までの期間に8,000万ドルもの贋作を販売。驚くのはギャラリーのアートディレクターも、本物と認証した鑑定家も、騙されたコレクターも、騙したアートブローカーも、一人で贋作を描いた画家まで、すべて実名で映画に出演していることだ。

Photo_20210316142103

 その理由は、多くの関係者が自分は騙された被害者だと主張しているから。つまり無実だと。現に裁判で有罪になったのは、最初に老舗ギャラリーに贋作を持ち込んだ女性アートブローカーだけ。仲間のスペイン人男性ブローカーはスペインへ、中国人の画家は中国へ逃亡。犯人引き渡し条約がないため逮捕されていない。

Photo_20210316142203

 作品としての質は高い、と言わざるを得ない。美術館のキュレーターや美術評論家たちが未発表の傑作発見!と大絶賛したぐらいなのだから。巧妙に作られた「来歴」や同時代の「画材」の使用などで粉飾されると、真贋の差がなくなるのか。それはアート業界の信用を揺るがしかねない事態。もしかしたら有名美術館で贋作をありがたがって鑑賞しているかもしれない、と思うとゾッとする。

   Photo_20210316142201

 事件の背景には現代アート作品の異常な価格高騰がある。しかも1940年代後半からの抽象表現主義の作品は、子どもの落書きと揶揄されるようなスタイル。技術的にニセモノを作りやすいとも言える。名声が確立されているから、いい作品なのか。自分の眼を信じて、真贋にこだわらないのか。アート作品の価値とは何か? 

Photo_20210316142301

 騙すほうも騙されるほうも、大金と名声と野心が絡んだこの事件。庶民からは冷ややかな目で見られているに違いない。ちなみにこの映画の日本語タイトルは『だましだまされアート界』(贋作をめぐる物語) ひとたび信じてしまうと、アバタもエクボ。原題の MADE YOU LOOK は、引っかかった! という意味だそうです。

|

« 雨と、雪と、ニューヨーク | トップページ | 聖パウロの愛と赦し »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 雨と、雪と、ニューヨーク | トップページ | 聖パウロの愛と赦し »