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2021年3月16日 (火)

雨と、雪と、ニューヨーク

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 美術館「えき」KYOTO で開催中の『永遠のソール・ライター』展。1950年代から60年代にかけて、ニューヨークで第一線のファッションフォトグラファーとして活躍していたソール・ライター。1981年にスタジオを閉め、表舞台から姿を消す。そして2006年に作品集が出版され、アート志向の強い写真作家として再び脚光を浴びる。

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 何気ない日常を撮影しているだけなのに、余人にはまねのできないセンスの良さが感じられる。雨粒に濡れたガラス越しの情景。降りしきる雪に煙るストリート。雨や雪の日を好んで撮っているが、そのちょっと寂しい感じが、かえって華やかな大都会の洗練を強調する。大胆な構図と効果的な色彩は、天性のものでしょう。

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 彼の最大の特徴は「見せないこと」。写真はビジュアルアートなのに、見せないとはどういうことか。人は隠されているとつい見たくなる。見えないからよけいに興味がわく。人生の物語まで想像してしまう。つまり観客も創作に参加する。写真は説明のためのツール、という考えが全盛の時代によくそんなスタイルを確立したものだ。

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 何かにさえぎられたり、一部しか見えなかったり。どこかシュールでアブストラクトな作品群。いわば絵筆の代わりにカメラでモダンアートを制作するソール・ライター。表舞台から退いたあとも、以前と同じ視点で、以前と同じトーンで、ずうっと彼は作品を作り続けていたのだ。名声を求めず、金銭欲もなく、静かに急がずに。

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 今回は昔の作品も新作も同列で展示されている。どれが古くて、どれが新しいのか、ぱっと見区別がつかない。50年も時代が前後するのに驚くべきこと。アーティストならではの自画像=セルフポートレートもたくさん残していますが、まともに顔がわかるものはない。それこそが彼の表現スタイル、制作ポリシーなのだから。

永遠の ソール・ライター
2021年2月13日(土)~3月28日(日)
美術館「えき」KYOTO

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