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2021年2月 9日 (火)

メッセージは何でしょう?

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 こんなに知的刺激にあふれた映画も珍しい。2017年に公開されたドゥニ・ビルヌーヴ監督の『メッセージ』(原題 ARRIVAL)。世界の12か所に突如あらわれた謎の巨大飛行物体。いったい何のために? どこからやってきたのか? 『未知との遭遇』や『インターステラー』の系譜につながる哲学的SF映画の傑作です。

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 謎の飛行物体と聞くと、人類滅亡の危機から地球を守る的なストーリーを思い浮かべるかもしれません。しかしこれは、ネピュラ賞を受賞したテッド・チャンの小説「あなたの人生の物語」(ハヤカワ文庫SF)を原作にした、時間の概念をテーマにしたヒューマンドラマなのです。派手なアクションシーンは一切ありません。

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 主人公は異星の生命体とコンタクトを図るため、軍に召集された言語学者ルイーズ。宇宙人(?)と言えば姿カタチも言語も思考形態も、つい人類から類推される枠の中で考えがちだけれど、地球の生命体とはまったく関連性がないほうが自然でしょう。そして人は未知なるものを前にすると恐怖でパニックに陥る。

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 科学者は冷静に事象を分析し、それらを集めて真実に至ろうとする。そこが軍人や政治家とは違うところだ。まったくヒントもとっかかりもないスミを流したような図形を文字と認識し、細かい違いの解析から規則性を見出す。徐々に解読していく過程はとてもスリリング。そこから導き出されたいくつかの単語。彼らは敵か、味方か?

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 わかってきたのは「彼ら」の世界には時間の流れがない、ということ。人間の世界で言うところの過去も未来も、同列でランダムに存在する。理解不能だけれど、そんな世界もあるという衝撃。言葉も習慣も違う異文化とのコンタクトは、歴史上たくさん経験してきた。しかしどれも地球上での出来事。彼らに比べれば身内の話。

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 宇宙生命体とのセッションの過程で、彼女は死ぬまでの記憶を獲得してしまうハメになる。自分の辛い未来を知ってしまうなんて、こんな不幸はないでしょう。でもそれを受け入れて次の一歩を踏み出す勇気に感動します。タイトル「メッセージ」は。原題「ARRIVAL」は。観る人によって多様な解釈ができると思いますよ。

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