花森安治という文化
第二次世界大戦が終わって間もなく、花森安治と大橋鎭子によって1948年に創刊された雑誌『暮しの手帖』(最初期は『美しい暮しの手帖』)は、戦後日本のライフスタイル構築と女性の地位向上に大きな足跡を残しました。『暮しの手帖』は、編集長としてまた表紙絵の画家として長年活躍した花森さんの思想と文化そのものです。
豊かで良質な暮し。先進的な欧米文化の紹介。独自に実施する商品テスト。美しい生活文化の指針として、われわれ団塊の世代も大きな影響を受けたものです。神戸出身の彼は、「新しもの好きで飽きっぽい。すぐあきらめるけど楽天的。過去を顧みず今日と明日だけを考えて生きる」神戸人の代表のように思っていたらしい。そんな神戸にフォーカスした展示は見ごたえがある。
この展覧会を見ると、花森安治の先進性とセンスの良さを改めて思い知らされる。1978年まで続けた表紙原画の素晴らしさはもちろん、依頼する執筆者も柳宗悦、小林一三、猪熊弦一郎、小磯良平、無着成恭、棟方志功、犬養道子など錚々たる顔ぶれ。美意識に裏付けられた編集者としての哲学とブレない姿勢に感動です。
花森安治
『暮しの手帖』の絵と神戸
2020年12月19日(土)~2021年3月14日(日)
神戸ゆかりの美術館
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