規格外!出光佐三の偉人伝
日本が敗戦の痛手から立ち上がろうとする時。石炭から石油へ基幹エネルギーが変わろうとする時。大きな困難に立ち向かった一人の男がいた。出光佐三、出光興産の創業者だ。不可能と思われたことにチャレンジし続ける、規格外のスケールに圧倒されます。
百田尚樹が2013年度の本屋大賞を受賞した小説を原作に、山崎貴監督が2016年に作った『海賊とよばれた男』。映画はB29から焼夷弾がバラバラと投下される、VFXを駆使した迫力のシーンから始まる。そして時代は創業のころ、大正期の北九州へと遡る。
親分肌の主人公を岡田准一。意気に感じて彼を支えるメンバーは、吉岡秀隆、染谷将太、鈴木亮平、綾瀬はるか、ピエール瀧、堤真一、小林薫ほかの豪華なキャスト。社長を店主、社員を店員と呼んで、命がけで働く独特な企業文化を濃密に描く。
誰もやりたがらないこと、無理だと言われることを、意志を貫きやり通す。業界団体の理不尽な規制を打ち破り、国際石油メジャーの要求にも屈しない勇気と強いリーダーシップ。破天荒な行動の裏には、人を思いやる情のあつさがある。部下を引き付ける所以だ。
青年期から90歳代まで、石油の普及とエネルギーの自立を目指し、時代を切り開いた痛快な一生。的確なCGで再現された満州の冬や焼け跡の風景も見ごたえがある。映像全編を通じたアンバー気味のトーンも、過去を振り返るにふさわしくとても美しい。
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