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2020年12月11日 (金)

市民ケーンは誰のアイデアか

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 1941年に作られたオーソン・ウェルズ監督・主演の『市民ケーン』。映画の歴史上No.1とも言われる傑作です。しかしこの作品は「誰のアイデアで生まれたか?」という疑問がくすぶったままだそうだ。オーソン・ウェルズか、脚本家のマンクことハーマン・J・マンキウィッツか? なおアカデミー脚本賞は共同で受賞している。

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 実在の新聞王ハーストをモデルにした問題作。マンクがクレジットの権利を契約上放棄したことから、真の創造者は誰か?という議論が公開当時からずーっと続いてきた。デヴィッド・フィンチャー監督は最新作の『Mank / マンク』で、世界恐慌後の社会・政治状況のなか彼が脚本を執筆する過程を描き、一つの解答を指し示す。

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 才能豊かだが、社会主義にかぶれ、アル中で、すぐに議論を吹っ掛け、人を傷つけるマンク。名誉棄損で上映禁止になるのではないか、という危ういテーマの脚本にかける執念。周りとの葛藤。チャーチルを演じてオスカーを獲得したゲイリー・オールドマンが、この複雑な個性の一筋縄ではいかないクセモノを好演している。

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 舞台は1930~40年代のハリウッド。映画スタジオや大手配給会社。プロデューサーや監督。華やかな女優。全編美しいモノクローム映像です。回想シーンを挟みながら時間の流れを自在に再構築する手法。わざとピントの甘いレンズを使ったり、パンフォーカスの多用など、『市民ケーン』をリスペクトする姿勢がよく見える。

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