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2020年10月14日 (水)

土が地球を救う

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 地球温暖化で引き起こされる気候変動や砂漠化。それによる自然災害の巨大化や深刻な食糧不足。このままでは人類滅亡の危機だ。『キス・ザ・グラウンド:大地が救う地球の未来』は、その流れを止める唯一の方法が「不耕起農業」だ、と実例を挙げながら科学的に解き明かす2020年ジョッシュ・ティッケル監督の作品です。

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 地球温暖化防止と聞いて思い浮かぶのは、二酸化炭素を排出する火力発電から太陽光や風力発電など自然エネルギーへの転換。そしてクリーンな電気自動車への移行。しかし排出する炭素をゼロに減らしたとしても、大気中に大量の炭素が残っている限り温暖化は進む。なるほど、目からウロコの指摘です。

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 「不耕地農業」とは文字通り土地を耕さない農業。畑を耕すと表土は風で飛ばされ、雨に流され、大地は水と炭素を蓄えることができなくなる。その結果として砂漠化が進む。メソポタミヤもインダスも黄河も、古代文明が滅亡した理由はこれだ。人類が田畑を耕すスキを発明したときから、自然破壊が始まったのだ。

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 微生物やバクテリアがたくさん棲む土壌は、水と炭素を多量に蓄える。それは植物を育てる栄養となり、それを食べる動物を増やす。このように生態系と気象に安定をもたらすのが、水と炭素の好循環。大規模な耕作はこの循環を崩してしまう。大気中の温暖化ガスを減らすには植物の光合成に頼るしかないのだから、「土」を信じ自然と共に生きる農業や牧畜が必須なのだ。

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 トラクター、化学肥料、農薬を使い、単一の作物を大量に生産する工業的農業が進んだいまこそ、科学者、環境活動家、農業従事者、政治家たちが団結して「不耕起農業」にカジを切るべきだと訴える。これはエコロジストの夢物語ではない。意外だけれど、災害に強く、経済性に優れた「儲かる」農業だという。説得力大でした!

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