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2020年10月17日 (土)

横尾さんの緊急事態

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 いま横尾忠則現代美術館で開催中の『横尾忠則の緊急事態宣言』展は、膨大に存在する彼の作品を「緊急事態」というくくりで集め、編集したもの。前回、2月1日から開催されていた展覧会のタイトルが『兵庫県立救急病院』。ちょうどコロナ禍が始まった時期のスタートで、とてもタイムリーな企画でした。それはたまたまだったらしいけれど、超能力的予見に驚かされたものです。

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 もともと横尾さんは殺人事件や決闘、空襲や火災など緊迫した情景をよく描いてきた。危機的状況がもたらすパニック。現実と悪夢の境界があいまいになる感覚。これら禍々しい血や死のイメージが交錯することによって、観る者の魂を強く揺さぶり、どこか別の次元に連れていく。そこが地獄か天国かはわからないけれど。

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 怪人20面相、ヤマトタケル、三島由紀夫、ターザン、ジェーン・フォンダなど繰り返し登場する人物。ライオンやワニやジョーズなどの凶暴な動物。それぞれのキャラクターが持つ固有のイメージと、それらが組み合わされることによって生じる化学反応。ギャップや違和感が生み出す負の感情さえも、表現のたいせつな要素だ。

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 コロナ緊急事態で私たちが経験したのは、生命にかかわる恐れと生活の不安。正体が見えない焦りと見通せない将来。物理的にも精神的にも、わからないことことだらけ。引きこもりの日常とは、まさに集団で対人恐怖症や閉所恐怖症にかかった世界。横尾さんはとっくの昔から毒を含んだユーモアで、こんな姿を描いていたのだ。

横尾忠則の緊急事態宣言
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
2020年9月19日(土)~12月20日(日)

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