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2020年9月10日 (木)

フジコ・ヘミングの歩んだ道

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 パリ、東京、ベルリン、サンタモニカ、京都にある住居、パリの猫やベルリンの犬に囲まれたその生活、時代を超えた独創的なファッション。他の誰とも違う、彼女の存在そのものが芸術とも言えるフジコ・ヘミングを追ったドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』。60代後半で世界に見いだされた奇跡のピアニストの物語です。

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 本名:ゲオルギー=ヘミング・イングリッド・フジコ。日本人ピアニストの母とロシア系スウェーデン人の画家・デザイナーである父の間でベルリンに生まれる。そして幼少時に日本へ移住。父との別離、厳しい母のレッスン、ハーフへの差別。戦中、戦後の日常を、彼女自身の絵日記で伝える手法も効果的だ。よく残っていたと驚くと同時に、めちゃ絵がうまいのにも感心する。

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 20代のころドイツへ音楽留学を目指したとき、国籍がないことが判明。混乱の時代で手続きができていなかったためだ。その後、ドイツ大使の尽力で難民としてパスポートを取得。ドイツに渡りピアニストとして順調に成長を遂げたが、大きなチャンスを目前にして、病気で耳が聴こえなくなる。それからはヨーロッパで貧しい生活。

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 1999年にテレビのドキュメンタリー番組で取り上げられ、一躍脚光を浴びる。そしていまは「魂のピアニスト」と呼ばれ、コンサートで世界を飛び回る日々。ショパン、リスト、モーツァルト、ベートーベン、ドビッシー・・・。彼女が奏でるピアノの音色には哀しみ、喜び、厳しさ、優しさがあふれ、多くの人々を魅了している。

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 劇的な展開は特になく、制作者の思い入れも強く出さず、あえて淡々と進める小松荘一郎監督。あまり多くを語らないフジコの姿勢。熱くならないクールな演出が、魂のこもった彼女の音楽をより際立たせる。80歳を過ぎてさらに輝きを増すフジコ・ヘミング。自由に生きる強さに感動し、多様性についても考えさせられました。

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