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2020年9月13日 (日)

資金力 vs. データ

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 ベネット・ミラー監督、ブラッド・ピット主演の痛快な『マネーボール』。原作はオークランド・アスレチックのGMビリー・ビーンを主人公にした、マイケル・ルイスによるノンフィクション『マネーボール 奇跡のチームをつくった男』(ランダムハウス講談社)です。彼はいかにして貧乏球団をMLBの強豪チームに変えていったのか。

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 野球に限らずプロスポーツは、サッカーもバスケットボールも資金力で一流選手を集めたチームはますます強くなり、財力なきチームとの格差は開くばかり。これが常識だ。彼は「客観的なデータ分析による統計学的手法」で「長年の経験と実績」に頼る伝統的な価値観を覆す方法で常識に挑む。評価されていない埋もれた戦力を発掘し、低予算でチームを改革。常勝軍団に仕立て上げたのです。

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 映画は2001年シーズンの終わりから2002年シーズンの終わりまでの1年を、当時の映像も使ってリアルに描く。選手の評価や采配をめぐっては、当然のことながら監督やスカウトたちと衝突する。どの分野でも革新的な思想や方法論を取り入れようとすると、大きな反発と抵抗を生むものだ。特にプロ球界など専門性の高い世界ほど「常識」の壁は堅固で高い。

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 短気で妥協できない性格で、思い通りに進なければロッカールームで暴れたりもする。しかし信念を貫いてチームを引っ張るビリー。野球はデータではなく人間がプレーするもの、という業界人の信念を打ち破った実行力と、良き理解者との出会いもあった。ドラフトやトレードの駆け引きなど、球団経営ビジネスの裏側もおもしろい。

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 ドラフト1位と期待されながら活躍できなかった自分。妻との離婚と娘への愛情。金のために決断を下したことへの後悔。怒りっぽく強引に事を進めるので敵も多い。でも真剣に改革しようとする熱意は、ついに連勝記録やプレーオフ進出で報われる。この実在の熱血GMにまつわる感動の人間ドラマを、ブラッド・ピットが魅力的に演じる。マネーボールというタイトルも素晴らしいと思いました。

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