見る恐怖、見えない恐怖
目を開けたら、最期。とキャッチコピーに書かれたサバイバル・サスペンス映画『バード・ボックス BIRD BOX』がおもしろい。「それ」を見たら、みんな狂ったように、しかも恍惚として破滅的な行動をとる。しかし「それ」は最後まで明かされない。こんな怖ーいお話。視界を奪われた世界をどう生き延びるのか。
サンドラ・ブロック主演、監督スサンネ・ビアはデンマークの女性です。あっという間に世界中に広まったこの事件。人類を滅ぼす疫病のパンデミックを思わせる。始まった時と5年後とが時間を行き来しながら描かれる。窓はカーテンやブラインドで覆い、外に出ると目隠しをして絶対「それ」を見ないようにする日常。
見たら死ぬ!と言いながら、恐怖のモト「それ」を見せないから想像力をやたらと刺激する。「それ」は実態のある何かか、悪霊や悪魔の類か、最愛の人の幻覚か、ほのめかすシーンはあるけれど、ハッキリ示さないから恐怖ばかりがつのります。その手法はアリだけどちょっとズルい。でも最後まで引っ張る演出力は見事です。
わずかに生き延びた人たちとの遭遇、しかし敵か味方かわからない。手漕ぎボートで何日もの急流下り。無人の家に潜り込んで食料の調達。幼子を2人連れて、もちろん目隠しをしたままで決死の逃避行です。目指す行き先が本当に安全なのかどうかもわからず、ほかに選択肢がないなら信じて進むしかない。
最後にたどり着いた楽園(?)は盲学校だった。視覚と聴覚。ナットクの部分もありますが、大きな謎は謎のまま。釈然としないけれど、危機にどう対処すべきか、サバイバルの工夫は、などなど見どころはたっぷり。小鳥が重要な役割を担っているから、『BIRD BOX』というタイトルは、気が利いていていいと思いました。
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