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2020年7月15日 (水)

熊谷守一の、わたし流

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 その昔1979年のこと、熊谷守一を知って感動した生誕100周年記念の展覧会。その後いくつも彼の展覧会を観てきましたが、今回の『熊谷守一展 わ た し は わ た し 』は構成も展示内容も最高に充実していると思いました。生誕140周年と伊丹市政施行80周年という欲張った冠がついている伊丹市立美術館での企画展です。

1965

 赤や茶色の輪郭線に囲まれた単純なカタチと明瞭な色彩。「モリカズ様式」と呼ばれる独自のスタイルで現代でも評価が高い。『へたも絵のうち』という著書もあることから、ヘタウマの元祖のように思われていますがメチャウマです。本質をとらえているからこそ描ける簡潔な線。それが表現する存在感は写実をはるかに超える。

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 猫が有名だけれど、庭で見かける昆虫や小動物もたくさん描いている。アリやカタツムリ、カマキリやメダカ。他の画家があまり取り上げないものに、科学者のような目を向けて観察し描写する。映画『モリのいる場所』で沖田修一監督が描いた通りの生活だったのでしょう。生命あるものをいとおしむ心が人一倍強かったのか。

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 描きたいものを、描きたいように。他人の思惑など気にせず、どこまでも自分流を貫いた先に到達した斬新なスタイル。抽象度の高い具象画。いや抽象や具象などという範疇を超えた世界に、「いい絵」を花咲かせたのだ。どこまでも自分の美を追求した熊谷守一。97歳で亡くなるまで意欲的に創作を続けました。

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 その風貌と生き方から「画壇の仙人」「超俗の画家」と呼ばれる。家から一歩も外へ出ないし、文化勲章は断るし。知らない人からは変人だと思われてもしかたがない。でも人嫌いではなく、ひっきりなしに客が訪れるにぎやかな家だったらしい。自然のままに「わたしはわたし」を貫いた人生。憧れてもできることではありませんね。

わ た し は わ た し
熊 谷 守 一 展
2020年6月23日(火)~7月31日(金)
伊丹市立美術館

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