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2020年7月27日 (月)

美しい花には魔力が潜む

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 出だしから尺八の旋律が響き不穏な雰囲気に。怖~い映画です。オーストリア・イギリス・ドイツの合作で『リトル・ジョー Little Joe』で、監督はジェシカ・ハウスナー。人が幸せになる香りを放つ新種の植物「リトル・ジョー」を開発した研究者が主人公です。演じたエミリー・ビーチャムがカンヌで主演女優賞に輝きました。

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 舞台はロンドン、遺伝子工学を駆使して新種の植物を創り出す最先端の研究所。クリーンルームの作業、さまざまな検査装置。コロナの病棟を連想します。そこでは「人を幸せにする」妖しい深紅の花が、完成間近になっている。研究室内の基調色は淡いグリーン。アルヴァ・アアルトのサナトリウムのような清潔で気持ちを穏やかにする色です。そこに対照的な真っ赤な花。色彩設計が見事です。

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 この映画では、目黒の panenka(パネンカ)さんのコスチュームが使われている。それを聞いていたので、公開されたらぜひ観ようと思っていました。使われているどころか、半分ぐらいのシーンで出てくるじゃないですか。白衣ならぬ、緑衣(?)。淡いパステル調の色、大きめのボタン。さすが panenka さんのファッションです。

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 「人を幸せにする花」は人類をウツから解放するかもしれない。こんな成果に期待していたとき、ふとした疑念が浮かびだす。ウイルスか何か、この花が出す成分が人を惑わし静かに精神を侵食していくのではないだろうか? 人類はこの花に支配される? 疑心暗鬼が連鎖する異色の植物ホラーの様相を呈してくる。

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 この花の香りをかいだ人々が変わっていく。息子も、同僚も、友人も。いや、周囲の人が変わったのではなく、自分自身が変わったのか。静かに進行する心理サスペンス。遺伝子工学の裏に潜む恐怖や、生命の問題と洗脳や集団心理の危うさを描いて極めて現代的。劇的なシーンはないけれど、じわじわと怖さが増幅しますよ。なお和楽器をフィーチャーした音楽は故・伊藤貞司の楽曲でした。

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