ラストレシピのラストシーン
一度口にしたことのある味は完璧に記憶し、それを完全に再現することができる。絶対音感ならぬ絶対味覚。そんな”麒麟の舌”を持つ二人の天才料理人がたどる感動の物語です。1930年代の満州と現代の日本を舞台に、時を隔てて心を通わせる『ラストレシピ 麒麟の舌の記憶』。滝田洋二郎監督の作品です。
最期を迎える人のために思い出の味を再現する現代の天才。レアな食材を探し求め未知の味覚を目指す戦前の天才。いわば過去に沈潜していく失敗シェフと、未来へ向かい続ける希望にあふれた料理人。この対比がストーリーを進める大事なキーになる。二宮和也と西島秀俊の対照的な演技も素晴らしい。
激動の歴史に消えてしまった「大日本帝國食菜全席」レシピをめぐる展開は、いつしかシェフの自分探しの旅へ。そしてラストの幻想的なシーン。時空を超えて過去の天才に差し出す現代シェフの新しい料理。タイトルの『ラストレシピ』と、「料理は進化し続ける」という言葉がいっぺんにナットクできた瞬間です。不思議な運命に導かれたファミリーヒストリーでした。
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