世界でいちばん長い青春
引っ込み思案で、これといった目標もなく、冴えない毎日を送っている高校写真部員の主人公。ある日、風変わりなカメラに出会ったことから、モノクロだった人生が鮮やかな色に変わり始める。草野翔吾監督の『世界でいちばん長い写真』がいいですよ。誉田哲也の同名小説(光文社文庫)を映画化したみずみずしい青春物語。
360度の撮影ができるように改造された珍しいパノラマカメラ。このカメラを使って愛知県の高校生が卒業記念に撮影した長さ145mの写真が、ギネスに認定されたという実話に基づいたお話だ。校庭で輪になって集合した生徒たちの中心にこのカメラを設置して、13回転させて撮影するクライマックス。ひと夏のキラメキと爆発の記録。
フツーの高校生のフツーの青春。目立たない地味な男子の話なのに感動的だ。ナチュラルで、リアルで、ドキュメンタリーのように見せる監督の手腕が素晴らしい。さまざまな部活や文化祭や体育祭など、等身大の青春がギュッと凝縮された148mのパノラマ写真。「ああ、そうだったなぁ、あの頃は」。遠い記憶の彼方からいろんな思い出がよみがえる不思議な映画になりました。
気弱な高杉真宙、しっかり者の松本穂香。どの出演者も素晴らしいけれど、主人公をグイグイ引っ張る従姉を演じた武田梨奈さんが特にいい。ワカコ酒の人です。こんな気風のいい“男前”のお姉さんが展開をリードし、高校生たちの成長を促している。ちょっと強引だけどね。昔も今も男子はこんなお姉さんに憧れるものです。
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