バルサの歴史、バルサの理念
パスをつないで常にボールをキープし、ゲームの主導権を握る攻撃的でスペクタクルなフットボール。日本でもヴィッセル神戸が「バルサ化」を掲げて目指しているサッカーだ。ジョルディ・ヨンバルト監督の『BARCA DREAMS FCバルセロナの真実』は、この強く楽しく美しいサッカーがどのように生まれたかを描いた2015年製作のドキュメンタリー映画です。その歴史的背景とクラブの理念に迫る。
このスタイルの基礎は、選手としても監督としても大きな成功を収めたヨハン・クライフが持ち込んだトータルフットボール。アヤックスで、そしてオランダ代表で、クライフを中心に繰り広げられた現代サッカーの革命から始まっている。この実現のため、彼は下部組織「ラ・マシア(カンテラ)」を整備。育成段階から一貫してバルサの戦術と哲学を教えるチーム作りのメソッドを確立する。
バルサのPR映画、と言ってしまえばそれまでですが、とてもおもしろい。ラ・マシア出身のグアルディオラ監督のもと、最強トリオと呼ばれたシャビやイニエスタやメッシなどラ・マシア出身の選手たちが躍動する黄金時代。トータルフットボールがさらに進化してワンタッチでパスを回す「ティキ・タカ」と呼ばれるスタイルへと輝きを増す。これが今も続くバルサのチーム戦術のバックボーンだ。
「クラブ以上の存在 MES QUE UN CLUB」これが世界を代表するサッカークラブ、FCバルセロナのスローガンです。1899年に創立。スペイン内戦からフランコ独裁政権へと続く、長い抑圧と苦難の歴史。バルサはスペインに対抗して自由と自治を守るカタルーニャ民族主義の象徴だったのです。エル・クラシコと呼ばれるレアル・マドリーとの試合は、スペイン vs カタルーニャの宿命の戦い。
オーナーはいなくて、ソシオという何万人もの会員によって運営されるクラブ。しかも単なるスポーツクラブを超えた、カタルーニャ人の魂の拠りどころ。育成段階からトップチームまで、同じ理念と戦術で戦えるように築き上げられたシステム。これらが合わさって世界に唯一無二のバルサが生まれたのだ。ヴィッセル神戸もブレずに長い目でクラブづくりを進めてほしいと思いました。
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