ベンジャミン・バトンの時間
80歳で生まれ、年を取るごとに若返っていく数奇な運命の下に生まれた男の物語。デヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演で2009年に公開された映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を巣ごもり鑑賞です。F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を基にしたそうですが、残念ながら原作は読んでいません。映画は上質の感動ヒューマンドラマで、とてもよくできていました。
ブラッド・ピットやケイト・ブランシェットの特殊メイクや演技力が見どころであるのは確かです。でもそれ以上に「時間」について考えさせられる映画だ、というのが見終わった後の感想。時間というのは絶対的な基準。人間が関われない世界の真理。だから誰に対しても公平で、その連続性を疑うものはいない。しかし、もし時間の流れに逆らって生きる運命を背負わされた人間がいたとしたら?
生と死。出会いと別れ。夢と挫折。人生の選択と選択できない運命。スタートからゴールに向かって時は流れるハズなのに、逆算しながら生きる時間のなんと残酷なことだろう。積み重なる思い出は、消滅へと向かう道でしかない。正と負が交わる一瞬しか真実の時間は存在しないから、その時その時が心からいとおしいと感じられる。今を大切に生きようと改めて思いました。
ルールから、システムから、しがらみから外れた異邦人の振る舞いに、日頃気づかない大切なものを教えられることがある。異質な存在が社会に入ると、安定が壊れて溜まっていたヒズミが現れるということでしょうか。それらを排除することなく、多様性を認め合い、より良い社会を築き上げるキッカケにできればベターだ。新型コロナも異分子として忘れてしまうのではなく、新時代を開く扉にしなければ。犠牲になった人たちのためにも。
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