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2020年5月21日 (木)

南アにとってラグビーとは

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 昨年の夏、日本中を熱狂させたラグビーW杯。日本代表が準々決勝で敗れた相手が南アフリカ代表スプリングボクスで、強力フォワードを中心に本当に強かった。彼らは順調に勝ち進み3度目の優勝に輝きました。そのスプリングボクスが初優勝したのは1995年W杯南アフリカ大会。それはスポーツを超えた歴史的偉業! クリント・イーストウッド監督によって感動的な映画になりました。

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 2009年作の『INVICTUS/負けざる者たち』。導入部から見事です。金網で囲まれた芝生のグランドでラグビーの練習をする白人の学生たち。道を隔てた向こうでは、土の空き地でサッカーボールをける黒人の少年たち。とても楽しそうだけれど彼らは裸足だ。アパルトヘイトと呼ばれる悪名高き人種隔離政策をシンボリックに表現するシーンから、この映画はスタートする。

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 長年にわたり人種差別のために国際社会から非難されてきた南アフリカで、1994年初めて全人種選挙が行われる。そして大統領に選ばれたのは27年間刑務所に入っていた人権活動家ネルソン・マンデラ。新大統領は翌1995年に開催が決まっていたラグビーW杯南アフリカ大会を人種間の融和のシンボルにして、スポーツの力で国民の分断と経済低迷で苦しんでいた国を立て直そうと考える。

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 しかしラグビーは金持ちの白人のスポーツ。しかも強豪スプリングボクスは当時低迷していた。虐げられてきた恨みを晴らそうとする黒人社会と、復讐の恐怖におびえ不信感を抱く白人社会。はたして道は開けるのか。すべての人種が調和して共存する「虹の国」を目指すマンデラ大統領は、キャプテンであるフランソワ・ピナールと協力して我慢強くみんなの意識を変えていく。

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 大統領モーガン・フリーマンと主将マット・デイモン、二人の演技が素晴らしい。憎悪を超えて、差別を克服して、リーダーの指導力で徐々に変わっていくチームと国民。過剰な説明はないのにしっかり理解できる。そして一丸となって栄光のラストへ。スポーツが持つ達成感だけではなく、じわーっと効いてくる深い余韻。ありきたりのサクセスストーリーにしないところが、さすがイーストウッド監督。


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 人種隔離政策に対する制裁で、ラグビーW杯第一回と第二回大会には出場できなかった南アフリカ。この映画のモデルになった1995年の第三回大会に初めて出場し、予想を覆す劇的な優勝を飾る。自国開催で大いに盛り上がり、人種や種族間の和解も進み、世界に新生南アフリカを印象づけることに成功したのです。ちなみに日本代表は準優勝したオールブラックスに予選リーグで17対145で大敗。不名誉な最多失点記録を残してしまいました。

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