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2020年5月

2020年5月30日 (土)

世界でいちばん長い青春

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 引っ込み思案で、これといった目標もなく、冴えない毎日を送っている高校写真部員の主人公。ある日、風変わりなカメラに出会ったことから、モノクロだった人生が鮮やかな色に変わり始める。草野翔吾監督の『世界でいちばん長い写真』がいいですよ。誉田哲也の同名小説(光文社文庫)を映画化したみずみずしい青春物語。

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 360度の撮影ができるように改造された珍しいパノラマカメラ。このカメラを使って愛知県の高校生が卒業記念に撮影した長さ145mの写真が、ギネスに認定されたという実話に基づいたお話だ。校庭で輪になって集合した生徒たちの中心にこのカメラを設置して、13回転させて撮影するクライマックス。ひと夏のキラメキと爆発の記録。

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 フツーの高校生のフツーの青春。目立たない地味な男子の話なのに感動的だ。ナチュラルで、リアルで、ドキュメンタリーのように見せる監督の手腕が素晴らしい。さまざまな部活や文化祭や体育祭など、等身大の青春がギュッと凝縮された148mのパノラマ写真。「ああ、そうだったなぁ、あの頃は」。遠い記憶の彼方からいろんな思い出がよみがえる不思議な映画になりました。

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 気弱な高杉真宙、しっかり者の松本穂香。どの出演者も素晴らしいけれど、主人公をグイグイ引っ張る従姉を演じた武田梨奈さんが特にいい。ワカコ酒の人です。こんな気風のいい“男前”のお姉さんが展開をリードし、高校生たちの成長を促している。ちょっと強引だけどね。昔も今も男子はこんなお姉さんに憧れるものです。

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2020年5月27日 (水)

ノアの方舟を知る

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 ダーレン・アロノフスキー監督の『ノア 約束の舟』を観る。聖書の「創世記」に出てくる有名なエピソードを基にした壮大な叙事詩です。正直に言うと、有名なわりにはあまりよく知らなかったけれど。ラッセル・クロウやジェニファー・コネリー、エマ・ワトソンやアンソニー・ホプキンスなど豪華キャストが、火山と氷河が形作ったアイスランドの神話的風景のなかで躍動するスペクタクル大作です。

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 アダムとイブから10世代あとの物語。楽園追放、兄弟殺し・・・地上は人間たちのさまざまな悪がはびこる時代になっていた。これをよく思わない神が世界の浄化を考えて引き起こした大洪水。ノアの方舟に乗った生きもの以外は、すべて死に絶える。こうして世界はリセットされるのだ。聖書の神はじつに厳しい。いや、人間の尺度で神を考えること自体が思い上がった行為なのでしょう。

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 神のお告げにより行動を起こすノア。しかし最後は自分の意志で、つまり人間として決断する。神への信仰か、家族への愛か。この映画では、神は彼の意志に人類の運命をゆだねた、という解釈がとられる。これが後の人類すべてに影響する大きな決断だったのだ。あくまで「聖書」の話ですよ。あくまで、たくさんある世界創造神話の一つに過ぎないわけですからね。

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 神はノアと三人の息子たちを祝福して言われた。「産めよ。増えよ。地に満てよ。」 そして三人の息子、セムとハムとヤベテが現代のすべての人類の祖先となった。長男セムはユダヤ人や中近東の諸民族など黄色人の、次男ハムはアフリカ大陸の諸民族など黒色人の、三男ヤベテは欧米人やインド人など白色人の、それぞれの祖。あくまで聖書は科学ではなく「神話」なので・・・悪しからず。

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2020年5月24日 (日)

フィンランド式お片づけ?

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 私たちの部屋にはモノがあふれている。知らず知らずのうちに増えてしまった服や、家具や、家電製品や、日用品。困ってはいるけれど片づけられない。だから断捨離がブームになったり、こんまりさんがスターになったり・・・。こんな状況を疑問に思ったフィンランドの青年が「自分にとって本当に必要なモノは何か?」と、ちょっと風変わりな『実験』を始めました。その一年間のドキュメンタリー。

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 ペトリ・ルーッカイネンが監督、脚本、主演を務めた『365日のシンプルライフ』。ユニークなのは彼の方法論だ。自分の持ちモノをいったんすべてトランクルームに預ける。そして一日に1アイテムずつ持ってきて生活にプラスする。一年間は何も買わない。そんなルールを自分に課す。まさに裸一貫、ゼロからのスタート。そのせいで遭遇する場面にバカバカしくもマジメに取り組む彼の姿が笑えます。

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 モノを捨てる、モノを減らす。こんな方法が片づけには一般的だと思うが、ペトリは違った。必要なモノだけでシンプルに暮らす、というゴールは同じでも、まったく逆の視点からスタートしたのだ。いまの生活から『引き算』をして整理する、のが従来の考え方。それに対してゼロから『足し算』をして本当の暮らしを築き上げる、というのがペトリ流。きっとフィンランドでも変わり者でしょうね。

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 いまは不要だけど、いつか役に立つかもしれない。しかもそれぞれのモノには愛や想い出がこもっている。だから整理は難しい。モノを捨てるということは、過去の自分を否定することでもあるから。それは誰にとってもつらいことだ。『足し算』方式の優れた点は、目指す人生に向かう前向きな姿勢にある。モノが増えるごとに、ひとつずつ確かな歓びを実感できるって素晴らしい。

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 ちなみにペトリは40㎡のアパートに、なんと5,000点以上のモノに囲まれていたという。そりゃボールペンやスプーンや下着や、と数え出したら誰でもそれぐらいはあるかもしれない。でも幸せを感じなかった彼は、持ち物をすべてリセットして365日の実験をやり遂げました。結果、モノは探している幸せとは結び付かないという発見に至る。きっとゴールよりプロセスに価値があったのでしょう。

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2020年5月21日 (木)

南アにとってラグビーとは

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 昨年の夏、日本中を熱狂させたラグビーW杯。日本代表が準々決勝で敗れた相手が南アフリカ代表スプリングボクスで、強力フォワードを中心に本当に強かった。彼らは順調に勝ち進み3度目の優勝に輝きました。そのスプリングボクスが初優勝したのは1995年W杯南アフリカ大会。それはスポーツを超えた歴史的偉業! クリント・イーストウッド監督によって感動的な映画になりました。

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 2009年作の『INVICTUS/負けざる者たち』。導入部から見事です。金網で囲まれた芝生のグランドでラグビーの練習をする白人の学生たち。道を隔てた向こうでは、土の空き地でサッカーボールをける黒人の少年たち。とても楽しそうだけれど彼らは裸足だ。アパルトヘイトと呼ばれる悪名高き人種隔離政策をシンボリックに表現するシーンから、この映画はスタートする。

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 長年にわたり人種差別のために国際社会から非難されてきた南アフリカで、1994年初めて全人種選挙が行われる。そして大統領に選ばれたのは27年間刑務所に入っていた人権活動家ネルソン・マンデラ。新大統領は翌1995年に開催が決まっていたラグビーW杯南アフリカ大会を人種間の融和のシンボルにして、スポーツの力で国民の分断と経済低迷で苦しんでいた国を立て直そうと考える。

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 しかしラグビーは金持ちの白人のスポーツ。しかも強豪スプリングボクスは当時低迷していた。虐げられてきた恨みを晴らそうとする黒人社会と、復讐の恐怖におびえ不信感を抱く白人社会。はたして道は開けるのか。すべての人種が調和して共存する「虹の国」を目指すマンデラ大統領は、キャプテンであるフランソワ・ピナールと協力して我慢強くみんなの意識を変えていく。

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 大統領モーガン・フリーマンと主将マット・デイモン、二人の演技が素晴らしい。憎悪を超えて、差別を克服して、リーダーの指導力で徐々に変わっていくチームと国民。過剰な説明はないのにしっかり理解できる。そして一丸となって栄光のラストへ。スポーツが持つ達成感だけではなく、じわーっと効いてくる深い余韻。ありきたりのサクセスストーリーにしないところが、さすがイーストウッド監督。


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 人種隔離政策に対する制裁で、ラグビーW杯第一回と第二回大会には出場できなかった南アフリカ。この映画のモデルになった1995年の第三回大会に初めて出場し、予想を覆す劇的な優勝を飾る。自国開催で大いに盛り上がり、人種や種族間の和解も進み、世界に新生南アフリカを印象づけることに成功したのです。ちなみに日本代表は準優勝したオールブラックスに予選リーグで17対145で大敗。不名誉な最多失点記録を残してしまいました。

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2020年5月18日 (月)

レイ・チャールズの真実

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 What'd I Say(ホワッド・アイ・セイ) Georgia On My Mind(我が心のジョージア) Unchain My Heart(アンチェイン・マイ・ハート) I Can't Stop Loving You(愛さずにはいられない)・・・。昔よく聞いたこれらの名曲は、ソウルの神様、レイ・チャールズのヒット曲の一部です。でも盲目のピアニスト&シンガーという以外、彼のことはあまり知りませんでした。情報が乏しい時代だったせいもありますが。

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 2004年、テイラー・ハックフォード監督が作った伝記映画『Ray/レイ』は、黒人でしかも盲目の天才ゆえの孤独や心の闇を容赦なく暴いた感動作です。幼いころ弟を事故死させてしまったトラウマ。その翌年7歳で緑内障のため視力を失うが、「盲目だからといって他人に頼るな、自分ひとりの力で生きていけ」と厳しく接する母を慕う気持ち。それらは後の人生に大きな影響を与えることとなる。

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 音楽に対する情熱と並外れた才能で成功を収めた後も、差別や裏切りに苦しみ、不安にさいなまれる。妻を愛しながらもほかの女性にすぐに手を出したり、何度も懲りずにクスリに溺れる姿は、現実からの逃避なのか。ニヤニヤした表情、クネクネした動きは、まるでレイが乗り移ったかのよう。迫真の演技で複雑な心理を演じたジェイミー・フォックスが、アカデミー主演男優賞に輝いた。

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 貧困、人種差別、黒人社会のしがらみ、音楽の革新、業界の因習、麻薬との闘い、家庭崩壊。偉大なミュージシャンの人生は波乱万丈だった。またそれは「盲目をハンディとせず、自分の力で生きてきた」人生でもあったのだ。ただし、ひとりだけではなく家族や周りの支えがあったからこそ。なお音楽面や演技の指導にあたったレイ・チャールズ本人は、この映画の完成を待たずに亡くなりました。

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2020年5月15日 (金)

アニメと実写のキミスイ

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 住野よるの『君の膵臓をたべたい』(双葉社刊)は、2016年本屋大賞で第二位になったベストセラー青春小説です。2017年に月川翔監督の実写版で、2018年には牛嶋新一朗監督のアニメ版で映画化。当時は「膵臓」の読み方もわからず、気色悪いなぁと毛嫌いしていました。「キミスイ」の略称で社会現象にもなっていたのに。

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 たまたま両方の作品を連続して観るチャンスがあったので、遅まきながらキミスイ体験です。12年後の世界から過去の忘れられない出来事を見た、という原作にない大胆な構成の実写版。住野さんも脚本会議に参加し、原作により忠実に描いたアニメ版。どちらにもそれぞれの良さがあり、好き嫌いが分かれるところ。

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 他人には興味を持たず本だけを愛する地味な少年。反対に、明るく活発でクラスの人気者の少女。まったく性格が違う二人だけれど、不条理なことにアクティブに生きる少女のほうが膵臓の病で余命はわずか。その彼女が書いている日記の名前が「闘病」ではなく「共病」文庫。ポジティブで一生懸命な性格がよくあらわれている。

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 お互いに自分に欠けている部分にあこがれを持ち、心を通わせていきながら人間として成長する二人。でも避けられない悲劇が待っている。泣ける物語の定番。と思いきや予想を裏切る展開に涙は止まらない。ありきたりな高校生の恋愛を超えた深い魂のふれあい。とてもよくできた純粋無垢なラブストーリーです。

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 いちばん気になるのは「膵臓を食べる」ということの意味でしょう。昔は肝臓が悪かったら肝臓を、胃が悪かったら胃を食べると病気が治ると信じられていた、だから・・・。膵臓を人に食べてもらうと魂がその人の中で生き続けるから。などとセリフで語られる。そして最後になってしまったメールの文面が、万感を込めて「君の膵臓をたべたい」。これで涙ドバっ!間違いなしです。 

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2020年5月12日 (火)

ゴジラとコロナ

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 いまは家で過ごす時間が長いので、見逃した映画を観るのにピッタリだ。で、2016年に大ヒットした映画『シン・ゴジラ』を観ました。脚本・総監督は『エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明。さすがに素晴らしい出来栄えです。日本アカデミー賞で最優秀作品賞、監督賞、撮影賞など主な賞を独占したのもよくわかる。

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 この映画のポイントは2つある。ひとつは巨大な生命体ゴジラの謎の解明と、自衛隊や米軍まで動員する総力を結集した戦い。シン・ゴジラの「シン」は、新であり真であり神である。体内の核融合炉の働きをする器官で生命を維持し、DNAの情報量は人類の8倍、必要に応じて次々と進化できる・・・。いわば従来のゴジラ映画の延長線上でその最新版。SF的魅力で引っ張る部分です。
 
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 二つ目のポイントは危機に対応する方法とその能力。はたして未知の敵にどう対処するか、日本という国家と社会の現実がリアルに描かれる。肝心なことは何も知らない専門家会議。現実を直視しない対策本部。従来の思考から抜け出せない政治家や官僚。そして合理性のない楽観論と悲観論の間で揺れ動くメディアや市民。これで未知の敵に、国家の危機に対処できるのか。

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 想定外の事態、前例がない、慎重に推移を見極めながら、という責任逃れ。認識の甘さを生む科学的根拠のない議論。その結果、スピード感が大事という言葉とは裏腹に、対応策が後手後手に回る。いま新型コロナ関連のニュースを毎日見ていると、むしろこの部分こそシン・ゴジラの見どころだと思えてくる。ゴジラとコロナ。どちらもこの国の危機対応力を試しているのだ。

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 難解な科学用語や耳慣れないお役所用語が、観客の理解など無視して早口で飛び交う。そこにニュース番組のパロディのように字幕がいっぱい入いる。あ、意味は分からなくてもいいのだ、スゴそうな感じだけが伝われば。そんな割り切った演出が緊張感のあるテンポを生み、ぐいぐいと引っ張っていく。素晴らしい! ところで監督、続編はいつごろ見られるのでしょうか? 楽しみにしています。

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2020年5月 9日 (土)

バルサの歴史、バルサの理念

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 パスをつないで常にボールをキープし、ゲームの主導権を握る攻撃的でスペクタクルなフットボール。日本でもヴィッセル神戸が「バルサ化」を掲げて目指しているサッカーだ。ジョルディ・ヨンバルト監督の『BARCA DREAMS  FCバルセロナの真実』は、この強く楽しく美しいサッカーがどのように生まれたかを描いた2015年製作のドキュメンタリー映画です。その歴史的背景とクラブの理念に迫る。

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 このスタイルの基礎は、選手としても監督としても大きな成功を収めたヨハン・クライフが持ち込んだトータルフットボール。アヤックスで、そしてオランダ代表で、クライフを中心に繰り広げられた現代サッカーの革命から始まっている。この実現のため、彼は下部組織「ラ・マシア(カンテラ)」を整備。育成段階から一貫してバルサの戦術と哲学を教えるチーム作りのメソッドを確立する。

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 バルサのPR映画、と言ってしまえばそれまでですが、とてもおもしろい。ラ・マシア出身のグアルディオラ監督のもと、最強トリオと呼ばれたシャビやイニエスタやメッシなどラ・マシア出身の選手たちが躍動する黄金時代。トータルフットボールがさらに進化してワンタッチでパスを回す「ティキ・タカ」と呼ばれるスタイルへと輝きを増す。これが今も続くバルサのチーム戦術のバックボーンだ。

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 「クラブ以上の存在 MES QUE UN CLUB」これが世界を代表するサッカークラブ、FCバルセロナのスローガンです。1899年に創立。スペイン内戦からフランコ独裁政権へと続く、長い抑圧と苦難の歴史。バルサはスペインに対抗して自由と自治を守るカタルーニャ民族主義の象徴だったのです。エル・クラシコと呼ばれるレアル・マドリーとの試合は、スペイン vs カタルーニャの宿命の戦い。

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 オーナーはいなくて、ソシオという何万人もの会員によって運営されるクラブ。しかも単なるスポーツクラブを超えた、カタルーニャ人の魂の拠りどころ。育成段階からトップチームまで、同じ理念と戦術で戦えるように築き上げられたシステム。これらが合わさって世界に唯一無二のバルサが生まれたのだ。ヴィッセル神戸もブレずに長い目でクラブづくりを進めてほしいと思いました。

 

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2020年5月 6日 (水)

ベンジャミン・バトンの時間

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 80歳で生まれ、年を取るごとに若返っていく数奇な運命の下に生まれた男の物語。デヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演で2009年に公開された映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を巣ごもり鑑賞です。F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を基にしたそうですが、残念ながら原作は読んでいません。映画は上質の感動ヒューマンドラマで、とてもよくできていました。

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 ブラッド・ピットやケイト・ブランシェットの特殊メイクや演技力が見どころであるのは確かです。でもそれ以上に「時間」について考えさせられる映画だ、というのが見終わった後の感想。時間というのは絶対的な基準。人間が関われない世界の真理。だから誰に対しても公平で、その連続性を疑うものはいない。しかし、もし時間の流れに逆らって生きる運命を背負わされた人間がいたとしたら?

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 生と死。出会いと別れ。夢と挫折。人生の選択と選択できない運命。スタートからゴールに向かって時は流れるハズなのに、逆算しながら生きる時間のなんと残酷なことだろう。積み重なる思い出は、消滅へと向かう道でしかない。正と負が交わる一瞬しか真実の時間は存在しないから、その時その時が心からいとおしいと感じられる。今を大切に生きようと改めて思いました。


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 ルールから、システムから、しがらみから外れた異邦人の振る舞いに、日頃気づかない大切なものを教えられることがある。異質な存在が社会に入ると、安定が壊れて溜まっていたヒズミが現れるということでしょうか。それらを排除することなく、多様性を認め合い、より良い社会を築き上げるキッカケにできればベターだ。新型コロナも異分子として忘れてしまうのではなく、新時代を開く扉にしなければ。犠牲になった人たちのためにも。
 

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2020年5月 3日 (日)

ビートルズというパンデミック

   Beatles
   
 ロン・ハワード監督の『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK  The Touring Years 』は、誰もが知っているバンドの、知られざる舞台裏を記録映像と貴重な証言で構成したドキュメンタリー。初期のハンブルグ、リバプール時代から、1963年にスタートした15ヵ国90都市166公演におよぶコンサート・ツアーのライブ映像を中心に、その後の音楽を変えた、その後の世界を変えた彼らの活動をたどる。

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 1960年代に突如現れ、まるでパンデミックのように世界中の若者に感染したビートルズ。この映画を観るとあらためてそのすさまじさに驚く。その音楽、その髪型、そのファッション、その言動、その思想・・・。いままで世界に存在しなかったアイドルとして、カリスマとして社会現象となった4人のグループ。ビートルマニアと呼ばれたファンの熱狂的な行動は各国で社会問題化する。

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 青少年に悪影響を及ぼす、風紀の乱れを招く、とビートルズは大人からは新型ウイルスのように嫌悪されることとなる。ジョンの「僕たちはキリストより人気がある」という発言も火に油を注いだ。その結果、多くの国でビートルズは放送禁止に。ほかにもアメリカ南部の黒人と白人の人種隔離政策に公然と異議を唱えるなど、彼らの存在は保守的な人たちからは世界の敵のように攻撃される。

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 そのうち彼ら自身も巨大なスタジアムで開催する野外コンサートに疑問を持つようになる。そしてスタジオでの音楽制作に専念、アイドルからアーティストへと進化していく。1969年1月30日、ロンドンのアップル・コア社の屋上でゲリラ的に行われた久しぶりのパフォーマンスが、歴史的な最後のライブになった。それを収めたのがアルバムや映画の『Let It Be 』だ。いろいろ紆余曲折があったが。

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 いま私たちはビートルズ後の音楽新世界を当たり前のように生きている。これまで何度もあったパンデミックの後も、確実に世界は変わったことを歴史が証明しています、決して元に戻るのではなく。ではコロナ後、この世界はどう変わるのでしょうか。できればより良い方向に変わってほしいと願います。

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 さてこの作品は、ビートルズ「公式」ドキュメンタリー映画と名乗っている。その所以はポール・マッカートニー、リンゴ・スターをはじめオノ・ヨーコ、ジョージ・ハリスンの未亡人オリビア・ハリスンなど、関係者の同意と全面協力のもとに製作されたから。見どころ満載の『THE BEATLES  EIGHT DAYS A WEEK』。きっとこれからビートルズを語るうえでのスタンダードになることでしょう。

 

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