あのAKIRAがよみがえる
1988年に漫画家・大友克洋が自ら監督をした伝説のアニメ『AKIRA』が4Kリマスター版でよみがえりました。4月3日に劇場公開、しかし新型コロナの影響でしばらくお休み。再開時期はあくまで感染の状況をにらみながら、ということでしょうか。この作品、当時としては破格の製作費と時間をかけて作られたハイクオリティのアニメーション。国内外に多くの影響を与えた記念碑的作品です。
物語の舞台は近未来(あくまで製作当時から見た)のネオ東京。新型爆弾が落とされて第3次世界大戦が勃発。それから復興を遂げた31年後の2019年、東京は徐々に繁栄を取り戻し、翌年にオリンピック開催を控えていた。超高層ビルが乱立する未来都市の顔とすさんだスラムの同居。こんなネオ東京を舞台に、さまざまな勢力が入り乱れて国家機密をめぐって争う。そんなストーリー。
すさんだ街。不穏な空気。退廃的な都市で頻発する反政府デモ。暴走族の少年たちと、ポスト人類のような超能力者、国家の中枢と軍隊にゲリラ。黙示録的世界で繰り広げられるテンポのいい展開に、思わず引き込まれてしまう。作者の意図だと思いますが、説明を極力省いて見る側にその解釈をゆだねる。とは言えお話は哲学的で難解、でも不思議なリアリティがある。
いま見ても斬新な映像表現と、腹の底から突き上げる芸能山城組による強烈な音楽。インパクトのあるアクションシーンから浮かび上がる、ネオ東京の破壊と再生への祈り。これは「理解する」のではなく、感じて「体験する」作品。まさに4Kリマスター、5.1chリミックス音源で楽しむべき作品だったのだ。ようやく作品に上映技術が追いついたのかもしれない。もし再開したら、ぜひIMAXシアターで。
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