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2020年4月21日 (火)

37 Seconds を観ましょう

   37

 こんな素晴らしい映画が、若き日本人の手で作られたなんて! 監督・脚本HIKARI(宮崎光代)さんの長編デビュー作『37 Seconds サーティセブンセカンズ』は、脳性麻痺で下半身が自由に動かせない若い女性の自分探しと成長の物語。ベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞とCICAEアートシネマ賞を受賞した人間賛歌のヒューマンドラマです。気が早いけれど、今年のNo.1かもしれません。

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 障害を持つ我が子に過干渉ともいえるカタチでしか愛情を伝えられない母。それに対して車椅子で生活する娘は過剰な母の愛を疎ましく感じる。社会に居場所を見つけられない焦り。たがいに不満を抱えながら現状を変えることができないイラダチ。それぞれの苦悩と不安を魂を込めて演じた主役の佳山明さんと母親役の神野三鈴さんに、大きな拍手を送ります。

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 ひょんなことから自分の意志で行動を始める。ちょっとした反抗心と踏み出す勇気。歌舞伎町や出会い系など、小さな冒険で出会った人たちのおかげで次々と新しい世界があらわれる。鮮やかなタッチでテンポよく話を進める手腕はスゴイ。タイトルの「37秒」は、彼女が生まれてきたとき呼吸が止まっていた時間。そのために脳性麻痺になり不自由な人生を強いられる。運命を分けた37秒なのだ。

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 ハラハラ、ドキドキしながら彼女の冒険に付き添ってきたわれわれは、彼女のポジティブなエネルギーに導かれ、ホッと息をつき清々しい気持ちになる。家族のあり方、障害者の性の問題、アーティストとゴーストライター、無意識の偏見や差別などなど、現代社会が抱えるいろんな問題を、ここまで考えさせる映画も珍しい。しかも決して深刻にではなく、からっと明るく描いている。

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 最後には「私で良かった」と心を込めてつぶやく主人公。自分自身を、境遇を、社会を、すべてを受け入れたこの一言は深い。デビュー作で大きな才能を見せたHIKARIさん、近年最大の発見です。この作品もほかの映画と同じく新型コロナの影響で上映自粛中。せっかくの傑作がたくさんの目に触れる機会を失っているのは残念です。Netflixでは視聴できるので、可能な方はぜひご覧ください。

 

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