« メスキータ 没後75年 | トップページ | コロナの時代をどう生きるか »

2020年4月 9日 (木)

階級社会と近代サッカー

   Photo_20200406163301  

 『 THE ENGLISH GAME 』は近代サッカーの黎明期を描くTVドラマシリーズ。大ヒットドラマ『ダウントン・アビー』シリーズを手掛けたジュリアン・フェロウズらの製作陣による NETFLIX オリジナル作品です。時代は19世紀後半の英国。上流階級のゲーム(趣味)である近代サッカーに、紡績工場で働く労働者たちが挑む。格差社会スポーツドラマ! これが世界最大のスポーツへ発展する第一歩だ。

Photo_20200406163402

 産業革命で世界最大の工業国となった英国。しかしその繁栄の陰で貧富の格差はますます拡大し、都市への人口集中による居住環境の悪化が進む。不況、賃金カット、ストライキ、暴動・・・。労働者階級のストレス解消と希望の拠りどころは地元サッカーチームの勝利。そんな社会的背景から生まれたサッカーの商業化と選手のプロ化の意味を丁寧に描く。撮影もコスチュームも素晴らしい。

Photo_20200406163302
 
 後にイングランドのサッカー協会FA会長を30数年間務めた貴族の子弟アーサー・キネアードと、世界で初めてのプロ選手であるスコットランド人のファーガス・スーターを中心に物語は進む。生活スタイルも、服装も、言葉までも違う、二人の名選手。それぞれが抱えた家庭の悩みと苦しみを乗り越えて、プレーヤー同士だからこそ生まれる理解と友情。見終わって爽快感を味わえるドラマでした。

Photo_20200406163401

 民主主義や人権問題で先進的だと思っていた英国で。しかもたった百数十年前のことなのに。ドラマは現代とはずいぶん違う古臭い社会を描く。父と息子。夫と妻。男性と女性。上流階級と労働者。銀行と融資先。差別意識がはびこり権力で強圧的にねじ伏せる社会。性差別や人種差別の廃絶という思想は、ごく最近のことだったのだ。サッカーに限らず、この時代のさまざまな葛藤が社会のあり方を変革する力になったのかもしれませんね。

|

« メスキータ 没後75年 | トップページ | コロナの時代をどう生きるか »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« メスキータ 没後75年 | トップページ | コロナの時代をどう生きるか »