タイトルは「接触感染」
2011年に公開されたという映画『コンテイジョン Contagion』は、この度の新型コロナを予見したような内容で話題になっている。で、定番になったNETFLIX 巣ごもり鑑賞。たしかに、恐ろしいほどこの数か月の状況に符合する。2002年に中国の広東省から起こったサーズ SARS 流行時の医学的な知見や社会的な不安の経験が活かされているからに違いない。ドアノブ、グラス、エレベーターのボタン、電車のつり革・・・。近未来(製作時は)の未知の接触感染症をテーマにしたパンデミック映画です。
物語は香港から始まるし、感染力は強いし、あっという間に世界に広まるし。ふんふんと観ているうちに引きこまれる。感染経路をたどる。医療従事者に犠牲が出る。都市が封鎖される。デマが拡散する。パニックになって暴動がおこる。ワクチン開発も思惑や利権が絡んですんなりとは進まない。まさに今、世の中はこの映画をなぞるように動いているからコワイ。ドキュメンタリータッチでリアルに表現するスティーブン・ソダーバーグ監督の手腕は確だ。
個人の愛や悲しみと社会的責務との葛藤。さまざまな規制が立ちはだかるなかでワクチンの研究開発。医療崩壊を防ぐため時間との闘い。人の行き来も、情報の伝達も、圧倒的に速く広くなった現代。政策の決定も何よりスピードが求められる。そして政府や行政は正確な情報を的確に流すことが必要だ。人々を物資の買い占めに走らせるのは、情報不足による不安感から。他人事のように無自覚にふるまうのは、感染症ウイルスに対する無知から。
NYのコロンビア大学公衆衛生大学院が制作する新型コロナに関する解説動画に、『コンテイジョン』に出演したマット・デイモンやケイト・ウインスレット、ローレンス・フィッシュバーンなどが出演。デイモンは「映画のなかで、僕は世界中に蔓延する架空のウイルスに免疫がある男を演じました。いくつかのことをはっきりさせておかなければなりません。まずあれは映画で、これは現実です。僕が新型コロナウイルスに免疫があると信じる根拠はありませんし、あなたも同様です。どれだけ若いとしても」と語っているそうだ。
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