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2020年3月 8日 (日)

「薪を焚く」は名著だ

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 信州の山の家では薪ストーブを使っている。ストーブに換える前の暖炉時代を含めると、薪との付き合いはもう30年以上。だから薪や斧やストーブの情報には常に注意を払っている。そんななかで最近見つけたラーシュ・ミッティング著『薪を焚く』(朝田千恵訳 晶文社)が素晴らしいので紹介します。冬は零下30度にもなるノルウェーの作家ならではの著作だ。

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 伐って、割って、積んで、乾かし、燃やす。あらゆる角度から薪にまつわる情報を集めた本は今までなかった。もちろん日本とは気候風土が違うので、薪に使う樹種も違うし乾燥のさせ方も異なる。でもその目的は同じなので、基本的なところは「そうだ、そうだ。なるほどね」と参考になることが多い。しかも読み物としてもおもしろい。

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 エネルギー事情の変遷。道具の進歩にともなう実践的な技術。その背後にある歴史や文化。森林大国ノルウェーの人たちが長い時間をかけて培ってきた薪に対する哲学と美学と叡智が詰まっています。地球環境に対しても森林資源を上手に利用することは、化石燃料を消費するよりずっといい。再生可能な未来への希望。

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 また知らなかったけれど、ノルウェーでは『薪アート』が盛んで、よくコンテストも行われているという。たとえば、魚の形に積んだ作品。国王の75歳を祝して国王夫妻の似顔絵を薪で作った作品などなど。薪積みを単なる労働ではなく、こんな楽しみに変えてしまうなんて! 有史以前から続く、炎と人の親密な関係。この本は教えてくれます。薪を焚くことは、暖をとる以上のなにかだと。

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