若冲の西陣織に驚いた
錦小路の青物問屋の旦那から40歳にして画業に入った、奇想の画家。人間技とは思えない超絶技巧で描写された緻密な表現で、近年その評価が著しく高まった伊藤若冲。日本の絵師では葛飾北斎と並ぶ人気を誇っています。彼の名作『動植采絵』三十幅と『釈迦三尊像』などを西陣織で再現した展覧会が、兵庫県立美術館 王子分館 原田の森ギャラリーで開催されている。
京都・相国寺に伝わる『釈迦三尊像』と、相国寺から明治22年に皇室に献上され三の丸尚蔵館が所蔵する『動植采絵』。2007年に相国寺の承天閣美術館で開かれた大展覧会で観て、圧倒された思い出がある。雨降りの平日にもかかわらず2時間待ち。全国から観客が訪れていた。その三十幅と三幅の作品を、髪の毛半分ほどの細い糸で織って作品に。どんな出来栄えか興味があります。
若冲が得意とするさまざまな色の鶏をはじめ、鶴や孔雀、雁や鴛鴦、魚や貝まで、チョー精密に、チョー写実的に製作されている。タテ 2,700本、ヨコ 15,000本もの糸を使って再現。さすが西陣!こちらも超絶職人技だ。ただし背景は単色ではなくさまざまな色の糸を合わせてつくっているので、見る角度によっては虹色っぽく光っている。これも織物だからこその良い質感かもしれない。また、澤田瞳子さんの『若冲』(文春文庫)もおもしろいので読んでみてください。
西陣美術織
若冲 動植采絵展
2020年1月7日(火)~1月13日(月祝)
兵庫県立美術館 王子分館
原田の森ギャラリー
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