« 若冲の西陣織に驚いた | トップページ | 138億光年をめざす旅 »

2020年1月12日 (日)

天才で、ならず者で

   Photo_20200107134801

 あべのハルカス美術館までカラヴァッジョ展を観に行ってきました。ルネサンスの巨匠たちの後にあらわれ、バロック美術の幕開けを告げる変革者となったが、38歳の若さで熱病のため亡くなった画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。ヨーロッパの絵画史を変えた天才と、その影響を大きく受けた同時代および後世の追随者「カラヴァジェスキ」たちが描いた計40作品が展示されている。

Photo_20200107142001

 いま目の前で起きている事件の決定的瞬間を見ているような、迫真の描写力。生々しいほどリアルです。眼をそむけたくなるほどグロテスクです。光と闇の強烈なコントラスト。ドラマチックな瞬間を強調する表現。まだ写真や映画がない時代、彼の作品を初めて目にした人々の驚きと熱狂はすさまじかったに違いない。またたく間にヨーロッパ中にカラヴァッジョ様式が広まったのも当然だ。

Photo_20200107134803

 しかし生来の激しい気性から周囲との争いや暴力沙汰を引き起こす。そしてついにローマで殺人を犯し、逃亡。しかも逃亡先のナポリで、シチリアで、マルタ島で、次々と傑作を残す。酔っぱらっては喧嘩を繰り返す無頼の徒が、こんなにも感動的な絵を描くなんて。天才と人間性はまったく別次元の話ということか。現代でも有名なアーティストやスポーツ選手に、つい立派な人格者を期待してしまいがちですが。それはどうなのでしょうか?

Photo_20200107141501

 バロックとは「ゆがんだ真珠」をあらわすポルトガル語から来たそうだ。明と暗の極端な対比。意図的にバランスを崩した構図。物語性を狙った斬新な演出。ある見方からすると品位に欠けるいびつな表現とも言えるでしょう。しかしカラヴァッジョはそれまでの堅苦しい規範を打ち破り、後の作家たちにより自由に個性を発揮する道筋を与えたのです。そして西洋美術はベラスケス、ルーベンス、レンブラントたちが活躍する絵画の黄金時代を迎えることになりました。

カラヴァッジョ展
2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)
あべのハルカス美術館

|

« 若冲の西陣織に驚いた | トップページ | 138億光年をめざす旅 »

展覧会情報[2020]」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 若冲の西陣織に驚いた | トップページ | 138億光年をめざす旅 »