夕日・夕景を集めた展覧会
ゴッホ展とかカラヴァッジョ展とか、最初から観客動員が見込めるわかりやすい展覧会は、美術館の交渉力や安全管理力が大切だ。さぞ神経を使うことでしょう。でもいつもいつも大型の展覧会が開けるわけではない。これといった目玉がない時期の展示は、どんなくくりで作品を集め、どのように見せるか、キュレーターのアイデアと腕が試される。本当の意味での企画力だと思います。
いま小磯記念美術館で開催中の『黄昏の絵画たち』は、キュレーターのそんな努力がカタチになった展覧会です。クールベ、コロー、ブーダン、モネ、ドニ、ルオーなど近代絵画に描かれた夕日・夕景。とくに瞬間の光を描こうとした印象派以降の作品では、刻々と光が変化する夕方のわずかな時間帯は格好の題材だ。一日の終わりと、また訪れる明日への予感。まさにゴールデンアワーです。
日本人の画家も、高橋由一、黒田精機、菱田春草、萬鉄五郎、梅原龍三郎などが、夕陽の強い逆光に浮かび上がる情感豊かな風景を描き出した。それは明治以降、影響を受けた西洋絵画の最先端が印象派だったせいもあるのでしょう。そんな中でひときわ目立っていたのが佐藤哲三の数作品。昭和20年代の制作だが独自のテーマと力強さが印象的。新しい発見でした。
近代絵画に描かれた夕日・夕景
黄昏の絵画たち
2019年11月16日(土)~2020年1月26日(日)
神戸市立小磯記念美術館
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