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2019年12月

2019年12月30日 (月)

ドロイドもクリーチャーも

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 地球人型、宇宙人型、獣型、爬虫類型・・・その他あらゆるクリーチャーが活躍するスターウォーズ。広い宇宙にはさまざまな発達を遂げた生命体が無数に存在するはずだ。みんな違いはあっても、そのどれもが存在としては平等だ。そんな世界観をメッセージとして発信していると思う。自由や人権(生命権?)をベースにした共和国と、権力者が支配する独裁帝国の戦い。明と暗。善と悪。多様性を尊重する民主国家アメリカと、単一の価値で縛る独裁国家。もちろん、あからさまには言わないけれど。
 
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 多様性の尊重という意味では、生命のないドロイドも対等に扱われているのがおもしろい。C-3PO、R2-D2、BB-8、D-0。それぞれのドロイドがとても機械とは思えないほどキャラがたっている。生命を持たないのに感情や性格があるように見えるのは、当然ネライでしょう。悲観的に語られることも多い人間とロボットの未来の関係を、とても希望的に描いている。人種や動物や生命体のレベルを超え、機械やAIなども含めて多様性を認めて共存しようという考え方でしょうか。人間と機械が強い絆で結ばれる、夢のような未来。

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 もう一つの大きなメッセージは、人間は自分の意志と努力で変われるということ。たとえフォースの暗黒面に堕ちても、二度と戻れないものではなく、回復可能で復活できるという信念がジョージ・ルーカスにはあるのでしょう。やり直しがきく。再チャレンジするチャンスがある。あきらめない強い意志と、変わろうとする勇気があれば。そして自分のことを自ら決める自由がある社会であれば。『スター・ウォーズ』とは、明るい未来への道しるべだったのでしょうか。
 A long time ago in a galaxy far, far away....

 

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2019年12月27日 (金)

スカイウォーカー家の物語

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 映画史に輝く名作『スター・ウォーズ』がついに完結を迎えました。1977年からエピソード4・5・6。1999年からエピソード1・2・3。そして2015年からのエピソード7・8・9。遠い昔はるか彼方の銀河系を舞台に繰り広げられたスカイウォーカー家のサーガは、全世界の観客を熱狂させ共感を呼びながら、42年にわたる旅路を終える。

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 自由を求める共和国と、恐怖で支配する帝国。ジェダイとシス。ライトサイドとダークサイド。善と悪。超絶パワーを発揮するフォースは人間の心の両面に起因している。別の人格ではなく、同一人物の表と裏なのだ。あらためてジョージ・ルーカスの大きな構想力に驚く。そして素晴らしい音楽のジョン・ウイリアムズにも感謝!

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 この偉大な物語にどう決着をつけるのか。脚本・監督のJ.J.エイブラムスは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で予想以上の素晴らしさで応えてくれました。圧倒的な充実感と大きな感動をもらってだけに、後の喪失感はとてつもなく大きい。この作品に教えてもらった、愛、正義、絆、勇気。いつまでも我と共にあれ。ジョージ・ルーカスと同時代を生きることができて幸せでした。

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2019年12月24日 (火)

三宮本通商店街に風船アート

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 センター街の南の通りに約150個のピカピカに輝く風船が出現。道行く人たちは風船を触ったり、間を縫うように歩いたり、映り込んだ周りの風景や自分自身の姿を眺めたりして楽しんでいる。建築家の津川恵理さんがデザイン・アドバイザーを務めたイベント『三宮ロトンドロンド』。「ロトンド」は円形の広場や建物など丸い空間を表す。「ロンド」は同じ旋律を繰り返す音楽様式で輪舞曲とも訳される。150mに渡って商店街を埋める銀色の球が踊っているように見えるからか。語呂のいいおもしろいネーミングですね。

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 アルミ箔(?)製の風船は地面から120cm、90cm、60cmの高さにランダムに置かれれている。小さな子どもから大人まで、それぞれの目線で楽しめる。軽いから風で動くし、ひとつひとつタッチしながら歩く人も多い。だから人の流れといっしょにまさにダンスしているかのよう。そしてこの企画はただ単にアートであるだけじゃないそうだ。慣れ親しんだ商店街に非日常の物体が出現することにより、人の行動や感情がどのように変わるか? このイベントから得られるデータをAIで分析し、集客効果や周辺店舗への経済効果を高めるための実験でもあるという。

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 まぁ意図は何であれ、街が楽しくなればそれでいいじゃないですか。都市の魅力は祝祭的な賑わいにある。その道具立ての一つがアートです。海外の街ではこんな街角アートやインスタレーションによく出会う。美術館の中に納まっているモノだけがアートじゃない。日本ではまだまだですが、むしろ現代の最先端は、美術館を出て街の中へ、そして自然の中へ。アーティストの意識が変わり、行政や企業の理解が深まれば可能です。アートが街の風景となり、暮らしを包む環境となる日を期待しましょう。

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2019年12月21日 (土)

絵本作家せなけいこ展

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 おばけの絵本、としておなじみの『ねないこだれだ』の誕生50周年を記念して、「せなけいこ展」が阪急うめだギャラリーで開催中です。親から子へ、子から孫へ、世代を越えて読み継がれる『いやだいやだ』、『ふうせんねこ』、『ルルちゃんのくつした』、『めがねうさぎ』など多くの名作の原画や貴重な資料約250点を展示。こども目線で作られた物語だからこそ長く支持されてきた、せなけいこさん。ロングセラーの秘密がうかがえる展覧会です。
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 貼り絵というアナログな手法で生み出された作品が、デジタル全盛のいまだからよけいに新鮮です。ツルツルの紙、繊維が残る和紙、印刷された柄物の紙。素材の質感の違いを生かしたり、ちぎった紙の断面を利用するなど技法が独創的。印刷された絵本ではわからなかったおもしろさを発見できるのも、原画展ならでは。おばけ、妖怪、動物、野菜、そのどれからも手仕事の温かさと作家の優しい気持ちが伝わってくる。

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 あまり知られていなかった絵本作家デビュー前の幻燈用イラストや紙芝居の仕事も紹介されていて、作家せなけいこの全貌を知ることができる。どのようにして「おばけ」や「めがめうさぎ」が生まれたのか、そのバックグラウンドがわかると名作がより深く楽しめます。そして小さな子どもたちが喜ぶ低いテーブルとイスが置かれた絵本コーナーや、展示作品とコラボしたカフェもある。なかなか充実した期待以上の展覧会でした。

『ねないこだれだ』誕生50周年記念
 せなけいこ 展
 2019年12月18日(水)~2020年1月6日(月)
 阪急うめだ本店9階 阪急うめだギャラリー

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2019年12月17日 (火)

夕日・夕景を集めた展覧会

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 ゴッホ展とかカラヴァッジョ展とか、最初から観客動員が見込めるわかりやすい展覧会は、美術館の交渉力や安全管理力が大切だ。さぞ神経を使うことでしょう。でもいつもいつも大型の展覧会が開けるわけではない。これといった目玉がない時期の展示は、どんなくくりで作品を集め、どのように見せるか、キュレーターのアイデアと腕が試される。本当の意味での企画力だと思います。

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 いま小磯記念美術館で開催中の『黄昏の絵画たち』は、キュレーターのそんな努力がカタチになった展覧会です。クールベ、コロー、ブーダン、モネ、ドニ、ルオーなど近代絵画に描かれた夕日・夕景。とくに瞬間の光を描こうとした印象派以降の作品では、刻々と光が変化する夕方のわずかな時間帯は格好の題材だ。一日の終わりと、また訪れる明日への予感。まさにゴールデンアワーです。

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 日本人の画家も、高橋由一、黒田精機、菱田春草、萬鉄五郎、梅原龍三郎などが、夕陽の強い逆光に浮かび上がる情感豊かな風景を描き出した。それは明治以降、影響を受けた西洋絵画の最先端が印象派だったせいもあるのでしょう。そんな中でひときわ目立っていたのが佐藤哲三の数作品。昭和20年代の制作だが独自のテーマと力強さが印象的。新しい発見でした。

近代絵画に描かれた夕日・夕景
黄昏の絵画たち
2019年11月16日(土)~2020年1月26日(日)
神戸市立小磯記念美術館

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2019年12月13日 (金)

25年目のルミナリエ

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 阪神淡路大震災の犠牲者への鎮魂と復興への願いを込めてスタートした神戸ルミナリエ。すっかり歳末を彩る風物詩になりました。希望のメッセージとなる光を灯し続けてはや四半世紀、今年で節目となる25回目を迎えました。ということは震災後に生まれた人たちも、どんどん大人になっている、ということか。時間がたつのは早いものです。でも震災の記憶を風化させてはいけない。

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 今年の作品テーマは『希望の光に導かれて、25年』。ちなみに第1回はシンプルに『夢と光』。最初は白熱灯の電球に色を付けたものだったのが、数年前からLEDに。電気代はずいぶん安くなったことでしょう。光の色はクリアになった代わりに、初めのころの温かさは少し薄れたかなと思います。あの古めかしい懐かしい色味が良かったんだけど、費用のこともあるからねぇ。

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 資金難のため毎年存続が危ぶまれていましたが、昨年初めて黒字になったそうです。黒字といってもほんのわずかですが。若い人たちがやってくれている募金活動の成果でしょう。この2、3年は特に目立つようになりました。見たところ学生さんだと思いますが、震災後に生まれた世代に違いない。素晴らしいことです。

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 今年の募金箱がなかなか凝っている。百円玉を入れたら箱の光が変わったり、模型の電車が動いたり、ボランティアの学生さんたちがアイデアを競って作った募金箱。楽しんで作っているのがよくわかり、寄付をしようかと思う人が例年より多いように感じます。この調子なら、来年も無事に開催されそうです。

神戸ルミナリエ 第25回
2019年12月6日(金)~15日(日)

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2019年12月10日 (火)

忠臣蔵は、お金次第?

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 12月14日の討ち入りを前に、恒例の忠臣蔵。でも今回はちょっとユニークな視点からの映画です。中村義洋監督の『決算!忠臣蔵』。浅野内匠頭の刃傷沙汰から吉良邸への討ち入り。泰平の世に主君の仇討ちを果たした武士の鑑として、もてはやされた47士。しかしその実態はソロバン勘定に明け暮れた日々⁈ 殿が切腹、藩がお取り潰し。ま、現代に置き換えると会社が倒産したようなもの。全員リストラにあった浪人なのですから。

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 何をやるにしてもお金は必要。それは今も昔も変わりません。このお話が上手いのは、そば一杯の値段を基準に換算し、すべての経費を現代の価値に置き換えているところ。赤穂から江戸への出張費が36万円。弓×4が42万円。たいまつ10本で10万円。鎖帷子、手甲、脛あてなどの武具が人数分で960万円。討ち入りにはお金がかかるのだ。失業してからの生活費に食費に家賃と、どんどんがかさんだ出費に加えて討ち入り費。予算がピンチ。

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 主演の堤真一と岡村隆史の演技が素晴らしい。すぐかっとする家老の大石内蔵助。淡々と仕事をこなす勘定方の矢頭長助。登場人物がみんな関西弁でしゃべるのもすごくいい。なんでやねん!と思われますか? 彼らは赤穂の人だから関西弁が自然ですし、世知辛いお金の話をするのにもよく合っている。吉本興業が制作に協力しているから、というのもあるでしょうね。

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 ウイークデーの昼間にもかかわらず、劇場はかなり混みあっていました。史実に基づいた忠臣蔵の裏話。なにかとお金かかるんだよなぁ、節約しても。観客の多くは年金生活とおぼしき皆さん。さぞ身につまされたことでしょう。歴史学者、経済学者が書いたおもしろい原作が増えたせいか、参勤交代や藩の引っ越しなどをテーマにしたユニークな時代劇が近ごろ多くなりました。その流れも汲んで新たな傑作コメディ忠臣蔵の誕生です。

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2019年12月 6日 (金)

旧・南蛮美術館の逸品

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 まじわる文化、つなぐ歴史、むすぶ美 ― というキャッチフレーズで、神戸市立博物館が約2年をかけたリニューアルを記念して『神戸市立博物館名品展』を開催している。教科書にも出ている有名な聖フランシスコ・ザヴィエル像。長崎の出島にもコピーが飾ってあったが、所蔵しているのはここです。もともと神戸の資産家・池長 孟(いけながはじめ)がコレクションし、1938年には熊内町にアールデコ調の美術館まで建てて展示していた作品。その美術館は戦後に大量の所蔵作品ごと神戸市に寄贈され、1982年まで市立南蛮美術館という名で親しまれていた。


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 1982年に旧横浜正金銀行の建物を活用した市立博物館の開館。それに合わせてこちらに移されたコレクションが今の市立博物館の中心です。国内に何点か残っている南蛮屏風の中でも質が高いこの作品は、狩野内膳による桃山時代のもの。ほかにも神聖ローマ皇帝、トルコ皇帝、モスクワ大公、タタール王を描いた泰西王侯騎馬図屏風も素晴らしい。宣教師の教えを受けた日本人絵師が西洋の画法と和の技法を折衷させて完成したおもしろい作品です。

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 神戸の歴史に因んだ展示物は、市立考古館から引き継いだ作品が中心だ。1964年に宅地造成中の灘区桜ヶ丘で出土した国宝の銅鐸(どうたく)14点と、銅戈(どうか)7点。2千年前のモノが状態よく残っている。楽器だとか祭礼用だとか、その用途はいまだ謎のようですが。我が家から歩いて行ける桜ヶ丘にそんなお宝が埋もれていたとは意外です。源平合戦図や近代のブルーム氏個人アルバムまで、神戸のさまざまな時代を垣間見ることができるリニューアル記念の名品展。主な作品は新しくなったコレクション展示室でこれからも見ることができます。

まじわる文化、つなぐ歴史、むすぶ美
神戸市立博物館 名品展
2019年11月2日(土)~12月22日(日)

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2019年12月 3日 (火)

実録!奇跡のテノール

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 Time to Say Goodbye を世界的に大ヒットさせたテノール、アンドレア・ボチェッリ。神の声を持つといわれるまでになった盲目の歌手が自ら執筆した自伝『The Music of Silence』に基づく映画『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』が素晴らしい。イタリア語の原題は『la  Musica del Silenzio』、そのままですね。盲目という大きなハンディを克服して世界のスターになるまでには、私たちに理解できない闘いがあったはず。それにあのズッケロも出演していますよ。

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 この映画の監督は名作『イル・ポスティーノ』のマイケル・ラドフォード。駄作であるはずがない。最後は成功するとわかっているのに、つい応援していました。心が揺さぶられる感動物語です。最映画の中でボチェッリ本人が熱唱する(吹き替えです)歌には圧倒されます。「乾杯の歌」(『椿姫』より)、「星は光りぬ」(『トスカ』より)、「誰も寝てはならぬ」(『トゥーランドット』より)などなど。圧巻の歌唱に涙が出ます。人を感動させるとは、こういうものなんだ。

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 映画を見て思うのは、周りの人たちにも恵まれていた、ということ。両親をはじめ、叔父さんや親戚、友人や恋人、学校の先生や歌のマエストロ。苦悩の中でも希望を失わずに前進できたのは、あたたかいサポートがあったからこそ。アンドレアに限らず、誰でもみんなに支えられて生きている。この映画は特別な才能を持った人の物語には違いないけれど、一人だけでは生きられないという事実は普遍的だと思う。改めて世界に感謝したいと感じました。

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