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2019年11月30日 (土)

神長官守矢家の資料館

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 神長官は「じんちょうかん」と読む。守矢(もりや)家は、古事記や日本書紀のころから諏訪上社の神事を取り仕切ってきた家柄だ。この守矢家に伝わる古文書や道具などの文化遺産を収蔵する博物館が、『茅野市立神長官守矢家資料館』です。1991年に開館したとパンフレットにある。建築史家の藤森照信さんの建築家デビュー作。自宅の『タンポポ・ハウス』より前だったのだ。

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 建築的な面白さは、まず屋根を葺いている鉄平石。上諏訪産で石質は安山岩。外壁は黄土色の土壁と「サワラ」の割り板。今は亡き茅野市最後の板割り職人の手によるという。このあたりの素材の魅力は、最近の作品である多治見タイルミュージアムやラコリーナにもつながっている。正面玄関の屋根を突き抜けた四本の柱は「イチイ」。御柱に因んだ四本です。

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 諏訪大社は日本最古の神社の一つで、いまも民俗学と歴史学の研究の宝庫だ。縄文時代に端を発するとも言われる習俗や行事が残されているという。鹿や猪の首や兎の串刺しなど、おどろおどろしい供物も展示。これらはきっと農耕が始まる前の狩猟採集生活の名残を今に伝える宗教儀式の一部なのでしょう。藤森建築+展示物の迫力で、ここは永遠の生命を獲得しています。

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