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2019年11月27日 (水)

フジモリ建築を体験する

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 写真のセンターが『空飛ぶ泥舟』、左の奥が『高過庵』、その下に『低過庵』。逆光で日陰に入っているので少し見えにくいですが。これらは建築史家・建築家の藤森照信さんが作った茶室です。畑の中に建つ唯一無二の建築は、普段は公開されていない。どうやって入るのだろう?と不思議に思う三つの内部を見学できるという、貴重な貴重な「フジモリ建築見学会」に行ってきました。

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 ジブリ映画に出てきそうなワイヤーで吊られた『空飛ぶ泥舟』。立てかけられた梯子から恐る恐る中ににじり入ると、たしかに天井が舟底のように見える。天地が逆さまの舟。茶室なので当然のことのように炉が付いている。可愛い煙突もある。地元の人々は外観から『パーマンの家』とも呼んでいるそうな。遊び心だけでできたような建築で、じつに素晴らしい。

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 6mの木の上に作られた『高過庵』は、タカスギアンと読む。なんでこんな見上げる高さに、なんて考える人のために名付けられた? 面白さの追求は茶の道の大切な要素です。二段にかけられた梯子を登るとこれも揺れている。ワイヤーで吊られた泥舟とはまた異質な揺れ。揺れもまた楽し。屋根の上に突き出た天窓部分は金箔張りで、白い漆喰の壁に柔らかい光が漏れてくる。

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 縄文時代の竪穴住居のような『低過庵』は、半分地下に埋もれたヒクスギる空間。地面から階段を降りてさらに身をかがめて滑り込む。暗い室内では外の話し声や鳥の鳴き声が別世界からの音のように響いてくる。あの世に行ったらこんな感覚だろうか。そしてこの低過庵は屋根がスライドして開くのです。ここには電気が通っていないので、室内はロウソクの灯り。屋根も先生がロープを引っ張って開けてくださる。パッと光がさして、この世へ無事に帰還。

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 この見学会は茅野市美術館が主催したイベントで、藤森先生が現地で自らの作品を解説してくださるという夢のような企画。でも残念ながら開催は不定期で、2~3年に一度あるかないかのようです。常識にとらわれない、しかし古くからの文化や素材を研究しつくされた建築。古代のような、未来のような。アフリカのような、日本のような。時間と空間を超越したフジモリ建築を堪能した一日。たっぷりと脳の栄養をいただきました。

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