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2019年10月 4日 (金)

クリムトもシーレもありますが

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 19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンで花開いたきらびやかで装飾的な世紀末芸術に光を当てる『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』というタイトルの展覧会。日本とオーストリアの外交樹立150周年を記念して国立国際美術館で開催されている。主要展示作品は大改修中のウィーン・ミュージアム(ウィーン市立歴史博物館)から運んだという。ナポレオン戦争後のウィーン会議の議長・メッテルニヒの赤皮アタッシュケースなんて珍品も展示。そんな展覧会なので、サブタイトルのクリムトやシーレに惹かれて観に来た美術ファンは肩透かしに合うかもしれません。

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 長く中欧を支配したハプスブルグ家のオーストリア=ハンガリー帝国。その首都ウィーンに集まる多くの文化人たちでサロン文化が花開く。展示はクリムトやシーレの有名な絵画だけではなく、その時代のファッションや日用品、ポスターや雑誌、建築や家具のデザインなど多岐にわたり、モダニズムの先駆けとなった多様な文化を知ることができるよう企画されている。短いけれど絢爛豪華だったウィーン文化。なるほど、『黄金時代』と呼ばれる理由がよくわかる。歴史好きにこそ楽しめる展覧会、というのは言い過ぎですが。


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 文化が爛熟した背景はブルジョアジーの台頭。それによって暮らしの中に美を見出す動きが高まり、多彩な才能が花開いた。シェーンベルクやマーラーなどの音楽。ヴァーグナーやロースの建築。フロイトの精神分析。この辺りの事情は9月1日の当ブログ「世紀末ウィーンに咲いた花」でも書いています。つまり芸術が王侯貴族だけのものではなくなったのだ。この展覧会はウィーンを芸術の都たらしめた所以を、ここに至る歴史を踏まえてさまざまな作品や製品の展示でたどっている。ウィーン世紀末文化の総体を理解するのに最適です。


ウィーン・モダン
クリムト、シーレ 世紀末への道
2019年8月27日(火)~12月8日(日)
国立国際美術館

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