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2019年10月

2019年10月31日 (木)

宇野港の巨大チヌ

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 第4回目の瀬戸内国際芸術祭。その第1回目に設置されて以来、宇野港の名所になった淀川テクニックさんの『宇野のチヌ』。カラフルなチヌ(クロダイ)は、JR西日本のCMで仲間由紀恵さんとも共演した人気者です。海の漂流物や家庭からの不用品で作られた長さ4mぐらいのこの作品。3年ごとに開催される芸術祭に合わせて、潮風で劣化したパーツを入れ替えてお色直しされるそうだ。隣には中が滑り台になった『コチヌ』もいます。

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 ポリバケツやオモチャ、スキーのストックやハンガー、洗剤のボトルやサンダルなど、捨てられたありとあらゆるゴミを集めたこの作品。私たちの生活から廃棄されたプラスチックや金属などでできた鎮魂碑のようです。快適な文明生活とは、たくさんの資源を使い、いっぱい使い捨てること? 便利さを享受する陰で海洋や土壌や空気中の環境汚染問題を引き起こしている。アーティストの静かな声が聞こえるようです。少し離れた公園には同じ淀川テクニックさんの『イノシシ』もいました。 

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 小沢敦史さんの『舟底の記憶』も宇野港にあります。黒い大きなヒトデのような、ダースベーダーのような、不気味な姿を横たえている。旧日本軍の軍艦のイカリやノルウェー船のスクリューなど打ち捨てられた鉄のパーツを集めたオブジェ。古びた金属の重厚さに長い時間を感じます。インフォメーションセンターのそばには。同じく小沢敦史さんが放置自転車をアート化した赤や青や黄色の可愛い作品『終点の先へ』も。レンタルできるので宇野の街をサイクリングするのもいいですね。

瀬戸内国際芸術祭 2019
ひろがる秋 
9月28日(土)~11月4日(月)

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2019年10月28日 (月)

軍艦島に上陸叶わず


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 長崎半島の沖合に位置する端島(はしま)。その姿から「軍艦島」と呼ばれている。1810年ごろこの島で石炭が発見され、佐賀藩が小規模な採炭をおこなっていた。それが1890年に三菱合資会社の経営となり、海底炭鉱として本格的に操業が始まった。エネルギー源の主力が石炭から石油に移ったことにともない1974年に閉山。そのあとは無人島になり、わずか45年ですっかり廃墟になってしまった。これが軍艦島の歴史の概略です。

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 一度この島を見てみたい、とかねてよりの思いが実現した「軍艦島上陸ツアー」への参加。でも残念ながら先日の台風で被害を受け、しばらく上陸できない状態が続いている。で周りを遊覧船で見てまわる。近づいたり、止まったり、撮影ポイントを心得た操船と解説で十分感動的でした。コンクリートでできた都市のビル群の行く末を見るような複雑な気分です。

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 護岸堤防に囲まれた南北480m、東西160m、周囲1,200mという小さな島に、最盛期には約5,300人の人々が暮らしていたという。日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅が建設されたのが1916年。狭い島に多くの人が生活するための工夫です。小中学校も7階建て。病院や映画館や店舗、お寺や神社もあり、島内で必要なものはほぼそろっていた。木々を育てる場所がないため、屋上に土を運び花や野菜を育てていたそうだ。ビルの高層化や屋上緑化など都市の過密問題を先取りしていた場所。

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 隣接するこれも海底炭鉱の島、高島に上陸し「高島石炭資料館」を見学。道具や機器や写真で炭鉱の歴史や日本のエネルギー政策の変遷を学ぶ。海上に見える島はいわば氷山の一角で、海底で縦に横に幾本も掘り進められた坑道は深さ地下1,000m以上にも及んだそうだ。展示された資料からは気温30℃、湿度95%という劣悪な労働条件のもと、ガス爆発など常に危険と隣り合わせの厳しい仕事ぶりがうかがえる。

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 明治以降、『黒いダイヤ』ともてはやされ、日本の近代化を支えた海底炭鉱の町が、国のエネルギー政策の変更により一瞬にして消滅したのだ。1974年4月20日。島民の離島が完了し、そこに暮らす人たちの生活や時間がぷっつり途切れてしまった。そして無人の廃墟に。人工的に作られ人為的に消された軍艦島は、ダムや基地や原発など国の政策と、そこに暮らす人間の将来を考えるうえで、示唆に富んだ場でもあると思いました。

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2019年10月25日 (金)

魔法の森やガラスの庭

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   もし魔法が使えるなら何がしたい?
   空を飛んだり、透明人間になったり、時間を戻したり、
   未来を見たり、お金がたくさんあったり、
   好きな食べ物をお腹いっぱいに食べたり。
   大好きな人と想いが伝わりあったり。
   魔法の森  それはいろんな願いが叶う、不思議な森。

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 秦まりの作「MAHOU NO MORI/Magical forest」に添えられた、作者からのメッセージです。シルクスクリーンでプリントした顔を活かして作ったぬいぐるみのような立体作品。ユニークなキャラクターが林のそこかしこにいる。小径を歩いていくと次々と木の陰から現れるカラフルでポップなクリーチャーたち。魔法の森で願いを聞き届ける妖精? 私たちを迷わす悪魔の手先? 正体はよくわからないけど、不思議なパワーを感じるところが魔法なのでしょうか。

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 六甲高山植物園にはガラスでできた枯山水の庭が。大東真也の作品「記憶の庭園 Garden of memory」です。ガラスを素材に立体作品を作るアーティストが、枯山水の概念をガラスの破片やオブジェで表現したもの。映り込みや反射など光の当たり具合で見え方も変わる。雨に濡れたら水滴や流水でまたその表情を変化させる。まさに自然と一体になった『庭』がそこにある。静謐だけれど脆くて移ろいやすい。その一瞬の時間は二度とない。一期一会。

六甲ミーツ・アート
芸術散歩 2019
2019年9月13日(金)~11月24日(日)

 

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2019年10月22日 (火)

金の鶏、ランタン、風の力

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 六甲ミーツ・アート2019の作品を、これから何回かに分けて順次ご紹介していきたいとます。
 オルゴールミュージアムのそばに池がある。この池の中に浮かぶ小さな島は、アーティストに作品の制作と展示について強いインスピレーションを与えるようだ。毎年かなりの力作に出会えます。今年は若田勇輔の「The Cock」。六甲山には神功皇后が金の鶏を埋めたという伝説が伝えられていて、その話を基にプラスティック製の金色の花びらを集積して作ったそうだ。

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 オルゴール館から高山植物園に向かう木道沿いには、数百本の黒いオブジェがススキのように風に揺れている。中森大樹の「Texture of Energy」だ。風を受けて揺れ動くことによって発電して光る、という作品。細い棒の先につけられた発電素材とLEDを使って、風の強さや吹く方向で明るさや動きが変わるそうだ。目に見えない風のエネルギーを可視化するのがアーティストの狙い。昼間もいいけれど、もう一度暗くなってから見に来なくっちゃ、と思いました。

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 高山植物園内にある映像館。その廊下を使った栗真由美の「builds crowd AMAGASAKI」がおもしろい。軒お先から吊り下げられたたくさんのランタン。光る雲のような上部と可愛い家形が集まった下部。家々の明かりはぬくもりや郷愁をかきたてます。母に抱かれて夕方の買い物に出かけた幼いころの記憶。ほのかな匂いまでよみがえってきそうです。

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 近づいて見ると、ランタンになっているのはすべて実在の商店や建物。尼崎の商店街を取材して写真を撮り、ランプシェードのように天井から吊り下げた。焼き肉屋にカラオケ屋、居酒屋にバイクショップ。ビリケンさんのお堂まである。とても緻密な作業がリアリティを与えているんだ。雑多なお店が好き勝手にデザインした看板を並べた商店街。そのカオス的状況が生み出す人間的な温かさと居心地の良さ。うまく表現しています。

六甲ミーツ・アート
芸術散歩 2019
2019年9月13日(金)~11月24日(日)

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2019年10月19日 (土)

オルゴールと宇野亜喜良

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 六甲オルゴールミュージアムの開館25周年を記念した演目が『宇野亜喜良のシンデレラ』。彼が描いた絵本「シンデレラ」(フレーベル館)のイラストを大きなスクリーンに投影し、お話を朗読する。そして場面に合わせて古き良き時代のディスク・オルゴールや自動演奏ピアノの音楽が奏でられるオルゴールシアターです。いまだ健在、幻想的な宇野亜喜良のイラストに、どこか懐かしく祝祭的な華やかさを持つアンティーク・オルゴールの音色が見事にマッチ。観客をメルヘンの世界へ誘います。

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 このオルゴールシアターは「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2019」の作品のひとつ。第10回目を迎えた今年の秋も、六甲山上は現代アートに出会う楽しさを求めて多くの人たちが訪れています。大自然のなかに点在するアート作品を歩いて巡るミーツ・アート。さわやかな季節のイベントとしてすっかり定着してきました。ライトアップなどで夜景と一体に楽しめる作品のほか、今回は「ザ・ナイト・ミュージアム」と称する夜間のみ見られる作品も3点あります。

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 展示されている合計44点のアート作品。「芸術散歩」というサブタイトルがついているように、ハイキングがてら歩いて観て回るのが健康的で気分もいい。とは言え山の上の広いエリア。何日かに分けて鑑賞できる時間の余裕がある人なら可能ですが、普通は六甲山上バスで効率よく動くことになる。先日の台風の被害で補修中の作品もありましたが、これも野外ならでは。空と緑と大地に包まれたアート鑑賞は、美術館にはない魅力がいっぱいです。

六甲ミーツ・アート
芸術散歩 2019
2019年9月13日(金)~11月24日(日)
 

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2019年10月16日 (水)

バウハウスが100周年

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 これはBauhaus!展の入場チケットです。若いころは(はるか遠い昔ですが)先輩デザイナーが発する「バウハウス」という音の響きだけでも、うっとりするほど神々しい存在でした。1919年、グロピウスによってヴァイマールに開校されてから100年。ナチスの弾圧を受けて1933年に閉鎖されるまで、わずか14年と短い活動期間でしたが、後世のアートやデザイン界に多大な影響を与えた造形学校です。いわばモダニズム建築やモダンデザインの偉大な神殿のようなもの。合理主義的、機能主義的な美の世界。

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 100周年のいま、この実験精神に満ち溢れた伝説的な教育機関を見直し、ユニークな授業内容や作品を紹介する展覧会が『きたれ、バウハウス』。西宮の大谷記念美術館で開催中です。建築、金属、陶器、織物、家具、印刷、広告、舞台美術など様々な分野での成果や資料など約300点を展示。教師陣の顔ぶれがスゴイ。グロピウス、ミース・ファン・デル・ローエ、パウル・クレー、カンディンスキー、モンドリアン、マルセル・ブロイヤー・・・名前を聞いただけでワクワクする。時代を代表する芸術家が指導していたのです。

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 時代を代表する芸術家が指導する革新的な授業の一部を体験できるのがおもしろい。色分けされたプレートを回したらどんな色に見えるかを体験する「回転混色」、光線の色とそれにより生じる影の色の関係を体験する「色の影」、円と正方形と1/4円の3つを要素にしてアルファベットや数字を作る「組み合わせ文字」などなど。頭で考えるだけではなく、実際に見て触れて手を動かして、五感をフル活用する教育。アカデミーで絵画を習うか、親方について修業するしかなかった時代に画期的です。

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 優れたデザイナーや建築家を輩出したバウハウスですが、ポストモダン、ポストポストモダンなどの流れを経て、いつしかカビが生えかけたレトロな趣になってしまいました。でも改めて展覧会を見てみると、永遠に新しいと感じる。それは学校の基本方針である、想像力を刺激し創造性を引き出す、という理念。伝統からも社会常識からも自由に、より美しいもの、より良いものを目指す姿勢。これからどんなに時代が変わっても、バウハウス流のモダニズムはひとつの指針として美の底流にずっと続いていくことでしょう。

きたれ、バウハウス
造形教育の基礎 開校100年
2019年10月12日(土)~12月1日(日)
西宮市大谷記念美術館

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2019年10月13日 (日)

ジョーカー、悪の誕生

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 かつてジャック・ニコルソンやヒース・レジャーが怪演したバットマン最大の敵、邪悪なジョーカー。その誕生の秘密が明かされる映画です。今年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、トッド・フィリップス監督の作品『ジョーカー』は、原作コミックにはないオリジナルストーリー。主演はホアキン・フェニックス、リバー・フェニックスの弟だ。この悪役の名演で、そんな形容詞つきで呼ばれるのはもうおしまいでしょう。

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 悲惨な境遇、積み重なる悲劇、そして弱者に無関心な社会。コメディアンを夢見る心優しい青年が、痛々しい出来事やまわりの無理解から少しずつ心をむしばまれていく。そして巨大な悪へと変貌を遂げる。一人の孤独な「人間」がなぜ狂気あふれる「悪のカリスマ」になったのか? 彼の切ない運命に、知らず知らず心情的に寄り添ってしまう。日本でもそんな悲惨な状況で生きる人がニュースに取り上げられることが増えてきた。でもそれは事件を起こしたり、生に破綻したり。悪いことでなけれぼ、注目されることもない。

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 自分は社会に必要なのか? 彼は存在意義を見出せない中、イジメられ、差別を受け、虐げられて堕ちていく。いまアメリカでも、ヨーロッパでも、日本でも、底辺の人々の急増が問題になっている。支えあう社会のシステムも働かなくなっている。偏見と不寛容。この映画はそんな現代を考えさせる。数十年前の良き時代の常識は壊れ、カオスの中に突入しているのだ。映画の舞台は1980年代の架空の都市ゴッサム・シティ。でもそれが、現代の大都市に似ているのが不気味だ。

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 羽を大きく広げて空に昇っていく鷲の舞のようなダンスシーンが象徴的だ。堕ちていくばかりだった主人公が、ジョーカーに変貌を遂げて昇っていく瞬間。それは差別と偏見、不寛容に満ちた格差社会から自分を取り戻す自由と解放のダンスなのだ。しかし自分自身の開放が、悪の道しかないというのが悲しい。歪んだ思想。独りよがりの哲学。第二第三のジョーカーを生み出さない社会を、人間が人間らしく生きられる世界を再構築する必要性を強く感じました。

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 この映画は、悪を肯定する、暴力を誘発する、だから有害だ!と叫ぶ人が必ず出てくると思います。たしかに子どもなど観る人によっては勘違いされるおそれがある作品なのでR-15指定。ただし誤解のリスクがあったとしても、いま観るべき現代の映画。人々の不満がたまってくると、社会は不安定になる。ドストエフスキーの本が異常に売れたり、ヒットラーやムッソリーニの映画が次々と作られたり。なんか世界がイヤな方向に向かいつつあるように感じる今だからこそ、ぜひ観ていただきたい。

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2019年10月10日 (木)

駅ピアノで見出された天才

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 日本でも『蜜蜂と遠雷』や『ピアノの森』など、正規の音楽教育から外れた生い立ちと境遇から現れた天才を扱った小説やアニメや映画がヒットしました。これはフランス版、ピアノの天才物語。ルドヴィク・バーナード監督の『パリに見出されたピアニスト』(au bout des doigts / 英題 In Your Hands)日本版のタイトルは、翻案し過ぎ? それはさておき、どれも育った環境に恵まれない天才のサクセスストーリーです。凡人には理解できない天才という説明不能の存在。それに対するあこがれやロマンが作者のベースにあるからこそ、生まれた作品だと思います。

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 いま世界でもポピュラーになった駅ピアノや空港ピアノ。TV番組で見ていてもかなり上手な人がいますが、そんなストリートから現れた天才が、よき理解者のサポートを受けながら、苦難と葛藤を乗り越え成功に至る。サッカーで言うと路地裏で裸足でボールをけっていた少年が、世界的なスターになる。そんな話。こんな風に簡単に言ってしまうとよくある物語なのですが、作品の優劣を決めるのはディテールの表現と底に流れる哲学です。この映画はそこがよくできている。

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 まず出演者の演技が素晴らしい。主演のジュール・ベンシェトリはなんとジャン=ルイ・トランティニャンの孫だそうだ。ディレクター役のランベール・ウィルソン、ピアノ教師役のクリスティン・スコット・トーマスがさすがの名演技。そして主人公が置かれた環境の描写に説得力がある。日本よりはるかに厳しい階層社会が生きているヨーロッパは、生まれた時から教育の機会も進むべき道も限定される格差社会。食べるものも、ファッションも、住む町も、聴く音楽も、つまり生きる世界すべてが違うのだ。しかもその社会構造が固定化される傾向が強まっている。クラシック音楽界では特に厳しいこの壁を乗り越える苦闘が手際よく描かれている。 

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 譜面通り正確に弾くならコンピューターでもできる。上手に聞かせるピアニストはいくらでもいる。しかし魂のこもった自分だけの音を出せるピアニストはまれだ。「同じ楽譜なら同じ音楽になる」と単純に考えがちだけど。何百年も同じ譜面なのにその時その時代で拍手喝采を受ける演奏家がいました。それら天才とたたえられるピアニストたちの歴史を変える演奏。何百年も前の曲なのにつねに新しい。それが色あせない魅力の源泉。芸の力です。クラシック音楽は従来とは違った時代性や人生観を表現できる一握りの天才の演奏によって進歩し成り立ってきた。そのおかげで周辺の人たちも生きていける。だからみんな天才にロマンを感じるのだ。

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 クラシック音楽のキモは、演奏に自分の感情を込めること。魂を込めること。あらゆるものから自由になって自分自身を表現すること。それは伝統的な正規の教育では優等生を育てられても天才は生みだせない、ということか。この映画を彩るバッハ、リスト、ラフマニノフなどの名曲を聴きながら、神が与えた才能と人間が授ける教育について考える。天才は正規のルートの外から出現する異邦人のようなものかもしれない。まぁこんな面倒くさいことは考えなくても、気持ちよく楽しめるサクセスストーリーです。「この指で未来を拓く」主人公を素直に応援できました。

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2019年10月 7日 (月)

ラグビー観戦はファンゾーンで

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 日本代表チームの活躍ですごい盛り上がりを見せているラグビー・ワールドカップ2019。開催都市の札幌、釜石、熊谷、東京、横浜、静岡、豊田、東大阪、神戸、福岡、熊本、大分では、試合会場のスタジアム以外にファンゾーンと呼ばれる応援・交流スペースが設けられている。神戸ではメリケンパーク。これがとてもいい。過去のワールドカップでもあったのでしょうか?それとも日本開催の独自サービスなのでしょうか?

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 パブリックビューイングはもちろん、誰もがラグビーを簡易に体験できるエリアや、出場国や地元神戸の特産品や名物料理をPRするコーナー、ハイネケンビールや大会公式グッズが買えるコマーシャルパートナーゾーンやフードコートなど、楽しく時間を過ごせる工夫がいっぱい。ステージでは多彩な音楽やダンスなどのパフォーマンスも繰り広げられており、飽きさせません。飲食や文化でもおもてなし、というわけです。

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 広い会場にその日の出場チームのユニフォーム姿が多いのは当然ですが、それ以外の国のユニフォームを着た人たちもたくさんいて、そこかしこで国際交流をしている。はい、ビールを飲みながら。これがなんと試合開始の5時間も6時間も前からなんだから驚きです。ラグビーファンはビールの消費量がスゴイから町中のビールがなくなる!と聞いていたけど、ほんとハンパない。でもさすが紳士のスポーツ、ファンは飲んでも紳士的。

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 平尾誠二フィールドと名付けられた神戸だけのエリアがある。東伏見工業、同志社大学、神戸製鋼、日本代表の写真やユニフォームやトロフィーが展示され、ゆかりある人たちが心のこもった思い出を寄せている。このワールドカップ日本開催に尽力しながらも、大会を前にして亡くなった偉大なラガーマン。つねにトップを走り続け日本ラグビー界をリードしてきた平尾さんを、みんなでしのぶ場になっている。

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 このエリアは気持ちいいオープンスペースで、けっこう広いんですよ。あまりにも若くして逝ってしまった平尾誠二。写真パネルを順に見ていくと、カッコよくて行動力があるだけではなく、彼の素晴らしい人間性と人脈の広さがよくわかる。あらためて惜しい人を亡くしたと残念に思います。いちばん奥にある彼に対するメッセージボードには、日を追うごとに書き込みが増えとてもいい雰囲気になってきました。

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 ファンゾーンっていわばお祭り広場。ラグビーファンでなくても十分楽しめる。それでも主役はやっぱりパブリックビューイング。家でテレビ観戦をするのとはまったく違った体験です。その場に駆け付けたたぶん1万人以上の人たちとの一体感と高揚感がサイコー! 全国のスタジアムは巡れないけど、これなら。クセになりそう、ビールが増えそう。選手のみなさん、これからも頑張ってください。

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2019年10月 4日 (金)

クリムトもシーレもありますが

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 19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンで花開いたきらびやかで装飾的な世紀末芸術に光を当てる『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』というタイトルの展覧会。日本とオーストリアの外交樹立150周年を記念して国立国際美術館で開催されている。主要展示作品は大改修中のウィーン・ミュージアム(ウィーン市立歴史博物館)から運んだという。ナポレオン戦争後のウィーン会議の議長・メッテルニヒの赤皮アタッシュケースなんて珍品も展示。そんな展覧会なので、サブタイトルのクリムトやシーレに惹かれて観に来た美術ファンは肩透かしに合うかもしれません。

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 長く中欧を支配したハプスブルグ家のオーストリア=ハンガリー帝国。その首都ウィーンに集まる多くの文化人たちでサロン文化が花開く。展示はクリムトやシーレの有名な絵画だけではなく、その時代のファッションや日用品、ポスターや雑誌、建築や家具のデザインなど多岐にわたり、モダニズムの先駆けとなった多様な文化を知ることができるよう企画されている。短いけれど絢爛豪華だったウィーン文化。なるほど、『黄金時代』と呼ばれる理由がよくわかる。歴史好きにこそ楽しめる展覧会、というのは言い過ぎですが。


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 文化が爛熟した背景はブルジョアジーの台頭。それによって暮らしの中に美を見出す動きが高まり、多彩な才能が花開いた。シェーンベルクやマーラーなどの音楽。ヴァーグナーやロースの建築。フロイトの精神分析。この辺りの事情は9月1日の当ブログ「世紀末ウィーンに咲いた花」でも書いています。つまり芸術が王侯貴族だけのものではなくなったのだ。この展覧会はウィーンを芸術の都たらしめた所以を、ここに至る歴史を踏まえてさまざまな作品や製品の展示でたどっている。ウィーン世紀末文化の総体を理解するのに最適です。


ウィーン・モダン
クリムト、シーレ 世紀末への道
2019年8月27日(火)~12月8日(日)
国立国際美術館

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2019年10月 1日 (火)

英国の、FOOD IS GREAT

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 昔、林望さんの『イギリスはおいしい』(平凡社 1991年 / 文春文庫)がベストセラーになったころ、たしかに英国の食事はまずかった。例外はロンドンの中華ぐらい。ところが近年ジェイミー・オリバーなどスターシェフも現れて、高級レストランに限らず全体的に食のレベルが上がったと思う。そんないま、英国の美味しさをプロモートする三日間のイベント「FOOD IS GREAT」が元町の絵画ビルヂングで開かれました。じつはGREATのあとに小さくBRITAIN & NORTHERN IRELANDとついている。洒落ですね。

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 英国で飲み物と言えばウイスキー。そして伝統的なクラシックジンに対してこの10年ほどすごい人気を集めているクラフトジン。驚いたのはイングリッシュ・スパークワイン。え、ワイン?と思いますよね。最近の地球温暖化の影響でピノノワールなどワイン用ブドウが収穫できるようななったらしい。しかも土壌はシャンパーニュとよく似ているという。ドーバー海峡の両側に同じような白い崖があるのは、大昔はつながっていて石灰質の同じ地層が続いているということか。

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 用意されているフィンガーフードは、イングランド産のビーフ、スコットランド産のサーモン、ウェールズ産のラム。英国が誇る高級食材です。好みのスピリッツやワインとこのおつまみをペアリングして楽しむ。簡単なアンケートに答えるだけで、無料で参加できるとは太っ腹な企画! この時期にこんなプロモーションをするのは、ブレグジットと関係があるのだろうか、なんて考えながら談笑。ワインは普通だけど、クラフトジンはすごく気に入りました。ごちそうさまでした。
 

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