« アレックスの静かなる挑戦 | トップページ | 抽象へ? 建築へ? »

2019年9月10日 (火)

多彩! ルート・ブリュック


   Photo_20190908134601       
 フィンランドが生んだ偉大なセラミック・アーティスト、ルート・ブリュック(1916―1999) 彼女の没後20年、日本フィンランド外交樹立100周年を記念した展覧会が、伊丹市立美術館で開催されている。7月26日のブログ「フィンランドの陶芸って?」でご紹介した大阪市立東洋陶磁博物館の展覧会でも中心的な作家のひとりでした。今回は200点以上の作品を網羅した充実の個展です。

Photo_20190907165602

 設備の整った環境で作家の自由な創作活動が認められたアラビア製陶所の美術部門。そんな夢のような環境で、彼女は専属アーティストとして約50年にわたって創作活動を続けた。新しい技法への挑戦、思い通りの色を出す釉薬の研究。売るための製品デザインを要求されることなく、自由に作家性を発揮できる環境。東洋陶磁美術館の展覧会では「芸術家たちのユートピア」というサブタイトルがついていました。

Photo_20190908115301

 スクラッチや石膏型を使った描線の盛り上がり。表面の凹凸や釉薬の厚みによる色の深み。艶やかにとテカる面とマットな地肌。ルート・ブリュックの作品は陶器のイメージを超えて、セラミックを使った立体作品だ。物質としての存在感がすごい。それについては同じ職場のビルゲル・カイピアイネンやミハエル・シルキンの影響も強い。お互いが良い刺激を与えあいながら、三人それぞれ素晴らしい傑作を世に送り出している。

Photo_20190908115302

 幼いころの思い出を抒情的に表現した若いころの作品。イソップ物語や聖書にモチーフを得た多くの作品。どれも深みのある色や物語性のある表現が特徴的にあらわれています。また鳥や魚や果物なども、カタチを変え表現手法を変え、いくつもいくつも作られる。これらは北欧のみならず世界中でいまも高い評価を得ています。

Photo_20190908125901

 カレリア地方の夏の生活やイタリアへの旅行からも多大なインスピレーションを得ていたようだ。知らない光、知らない色、知らない景色。あふれる好奇心と、みずからの内なる創作意欲を高めるための追求は、生涯を通じて止まることはなかった。そして彼女は50歳ごろから大きく作風を変える。後半の作品については次回にご紹介しましょう。

ルート・ブリュック 蝶の軌跡
2019年9月7日(土)~10月20日(日)
伊丹市立美術館・工芸センター

|

« アレックスの静かなる挑戦 | トップページ | 抽象へ? 建築へ? »

展覧会情報[2019]」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アレックスの静かなる挑戦 | トップページ | 抽象へ? 建築へ? »