今年もボローニャ絵本展
西宮市大谷記念美術館で『2019 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』が開催されています。世界で唯一の子どものための本の見本市『ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア』で開催される絵本原画コンクールを日本に持ってきた展覧会。このコンクールの特長は、キャリアは一切関係なく、5点一組の絵を用意すれば誰でも応募できる公募展だということ。そして世界から選ばれた編集者やイラストレーター、出版関係者、教育者によって審査される。すでに絵本として発表された作品も未発表のものも、すべて平等に審査されるのがおもしろい。
インク、鉛筆、リノカット、水彩、油彩、シルクスクリーン、パステル、墨など、使う絵具も技法もさまざま。布のパッチワークや刺繍で絵を創った作品もある。62ヵ国2901作品から選ばれた、日本人10名を含む76作家すべての入選作を展示。みんな目新しい技法や色使いで創作しているので、見ごたえたっぷりだ。そして絵と物語の発想は国際色豊か。ベネズエラやセルビアなど普段なじみが薄い国からも多数入選。お国柄というのか、民族的な違いというのか、それぞれ地域の歴史と自然環境に根づいたユニークな表現に、世界の広さと文化の多様性を感じられる。
ここでの入選をきっかけにプロの作家としての一歩を踏み出す人も少なくない。いわば新人の登竜門。そしてアーティスト以外に編集者や出版関係者も一堂に集まるこのフェアは、重要なビジネスの場でもある。版権の売買、企画の相談、出版や翻訳の交渉が数々行われる。だからこのフェアの参加者はみんな真剣だ。原画展のクオリティの高さはそんなところからくるのかもしれません。小学生や中学生の団体が、とても熱心に鑑賞していたのが印象に残りました。この子たちの中からボローニャで入選するアーティストが生まれるかもしれません。期待しましょう。
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
2019年8月17日(土)~9月23日(月・祝)
西宮市大谷記念美術館
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