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2019年7月 9日 (火)

長場 雄の、おもしろ視点

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 すべての線は、名画に通ず。これは POCKET ART SERIES NUMBER ONE 『 YU NAGABA 』(株式会社オークラ出版)のオビに書かれた言葉だ。ベースは「全ての道は、ローマに通ず」。この言葉がすごく輝いているのは、この本がダ・ヴィンチやボッティチェリからキース・へリングやバスキアまで、誰もが知っている古今の名画を味のある線で描いたドローイング集だから。アーティスト長場 雄の自信。

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 ポケットに、手のひらに、いつも持ち歩いて、思いついたら開いて楽しめる。ページをめくりながらユニークな選択にクスッとし、省略のセンスにうなり、線の美しさにうっとりする。極限まで要素をそぎ落としたシンプルな表現なのに、元になった名画の色や深みがしっかり伝わってくる。これは並外れた才能とテクニックのなせる業。

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 いろんな名画が描かれているのに、モネの睡蓮は入っていない。たしかに、あんな絵は線では表現できないですよね。線で表現するのには得手不得手があるようです。でもクリムトやマネはちゃんと出ている。しかも一目でそれとわかる。「あ、なるほど!」、「こんどは、そう来たか」。目の栄養、プラス 頭の体操。ミケランジェロもマチスも、もう楽しくて中毒になりそうです。

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 誰もが知っている、あるいは知らなくても見たことはある、そんな有名なアート作品を独自のスタイルで表現する。これは過去の芸術にもう一度命を吹き込む作業だ。しかも美術の教科書を見るような堅苦しさがなく、すごい芸術作品にお近づきになる入口の役目。アートをもっと身近にしたい、という長場さんの思いで生まれた手のひらサイズの美術書。ぜひ一冊お手元に。

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