スーパー狂言って?
横尾忠則現代美術館で開催中の「笑う横尾忠則」展で、とても興味深かったのは『スーパー狂言』関連の展示。2002年から2003年に上演されたそうですが、当時はまったく知らなかった。お恥ずかしい限りですが、伝統芸能にまったく関心がなかったので。さて国立能楽堂委嘱作品『スーパー狂言』三部作は、原作:梅原 猛 演出:茂山千之丞 美術:横尾忠則 で創作された新作狂言なのです。
『ムツゴロウ』では自然破壊。『クローン人間ナマシマ』では科学技術。完結編の『王様と恐竜』では核戦争をテーマに、笑いを通して人間の愚かさをえぐり出した三部作。展覧会場では公演ポスターをはじめ、装束や小道具などさまざまなアイテムが展示されている。上演のDVDも流されています。21世紀のテーマと現代専門用語、それらに伝統的な狂言の所作やせりふ回しが妙にマッチ。おもしろい間を作っている。
シャガールやホックニーもオペラや芝居の舞台美術を手掛けているように、アーティストにとって舞台美術やコスチュームのデザインはものすごくやりがいのある仕事に違いない。自分のイメージが動き、演技し、ときに予想以上の効果を上げる。横尾さん自身の頭や手で完結しない世界。新しい発見や幸福な刺激に満ちあふれた、それこそ笑いが止まらない経験だったのではないでしょうか。
人食いザメと金髪美女―笑う横尾忠則展
2019年5月25日(土)~8月25日(日)
横尾忠則現代美術館
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