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2019年6月

2019年6月30日 (日)

これぞディズニー!のアラジン

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 このところ「美女と野獣」や「ダンボ」など過去の名作アニメの実写映画化で大成功をおさめているいるディズニー。今度はガイ・リッチー監督で「アラジン」です。ファミリー層に向けたエンターテインメント。子どもにも大人にも夢と希望を与えてくれるディズニー精神。それらが最もよく表れているのが、このアラジンと魔法のランプをもとにした今回の映画だと思います。

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 エキゾチックで絢爛豪華なアラビアンナイトの世界を、実写ならではのスケールと映像美でうまく表現している。猥雑だけど活気ある市場のにぎわい。生あたたかい夜の空気。アニメでは表現が難しい奥行きやリアリティを、ディテールまでまでこだわった撮影、美術、コスチューム、音楽で生み出しています。期待をはるかに超えた出来。

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 ランプの魔人ジーニーを演じるウィル・スミスが素晴らしい。ダンス、歌、演技。どれも超一級。ハチャメチャな過剰演技も、しっとり心にしみいるシーンも、カッコよすぎるじゃないか、と言いたくなる。おまけでアラジンを手助けしてやるジーニーと、最後3つ目の願いで魔人に自由を与えるアラジンの友情。子どもだましとバカにできない、都感動的な映画に仕上がっています。

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2019年6月27日 (木)

もうハギが咲いてる⁉

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 気象庁はようやく26日(水)に近畿や中国地方が梅雨入りしたとみられる、と発表しました。統計を取り始めた1951年以降、最も遅い梅雨入りだそうだ。その影響かどうかわかりませんが、もうヤマハギが咲いてる。布引貯水池につながる階段の横の斜面で紫紅色の花を見つけました。ハギと言えば「秋の七草」のひとつでマメ科の落葉低木。漢字でも「萩」つまり「草かんむりに秋」と書くから、てっきり8月の後半から咲くものだと思い込んでいたけれど、そうでもないらしい。

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 6月から10月と花期は長く、満開がはっきりしないままだらだらと咲き続ける、と図鑑にも書いてある。英語でBush Clover。クローバーに似た形の葉で藪のように繁ることからのネーミング。そばに寄って観察すると、房状の花穂の下から順に上に向かって開花している。トラノオなども上あるいは先に向かって咲いていくから、房状の花はすべて穂のもとから先に向かって開花するものなのかもしれない。フジやニセアカシアも次のシーズンに確かめないと。

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 ヤマボウシが終わりに近づき、白い花が茶色っぽく変色し始めている。こちらは季節通りで正常な姿。なんの不思議もありません。ウツギやミズキなど初夏に多い白い花の時期が終わりを迎え、木の花が少ない季節に入ります。そんななか、山野草らしい控えめな風情と生命力にあふれた豊かさが万葉の昔から愛されてきたハギは、ネムノキやサルスベリなどの開花時期を挟み、(いい意味で)だらだらと長く秋まで咲き続けることでしょう。

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2019年6月24日 (月)

シーボルトと幻のアジサイ

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 どうなっているのでしょうか、近畿地方はいまだ梅雨入りしていません。でも梅雨時に鮮やかなブルーや紫、ピンクや白の花で目を楽しませてくれるアジサイは、あまり雨が降らなくても季節を忘れずきれいに咲いている。ヤマアジサイ、ガクアジサイ、ヒメアジサイ、セイヨウアジサイ。それにさまざまな園芸品種。その大ぶりで華やかな花、多彩に色が変化するさまなどが人気で、全国の公園や家庭の庭にもたくさん植えられている。


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 アジサイの名所の一つ、神戸市立森林植物園ではいまシチダンカが見頃を迎えています。幕末に長崎オランダ商館の医師・博物学者として活躍したシーボルトが著した『日本植物誌(フローラ・ヤポニカ)』に採録されているけれど、その後実際に見た人がいなかったなかった幻のアジサイ。それが1959(昭和34年)に六甲山中で「再」発見されたのだ。各地で植えられて可憐な姿を見せているシチダンカは、その木から森林植物園で挿し芽などで殖やされた子孫。

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 シチダンカはヤマアジサイの変種で10~15枚の装飾花(ガク)が八重咲きとなり、外側は大きく内へいくほど小さくなって星形に重なりあう。漢字の「七段花」は、この重なりあった様子をあらわす。八重も七段も数が多いことを意味する言葉なので、数字そのものにあまり意味はない。また雄しべや雌しべのある両性花は退化していて装飾花が咲く前に枯れ落ちるそうだ。だから自分で子孫を残すことはできない。こんな種がよく残っていたものだと思います。

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 六甲山系で摩耶山と再度山の間の奥に広がる森林植物園では、350品種、約5万株のアジサイが植えられ、次々に開花の時を迎えている。アジサイは日本原産でヨーロッパにわたって品種改良され、大正時代に逆輸入されたものが西洋アジサイだ、とか、土壌の酸性度アルカリ度で花の色が変わるとか、おもしろい話がいっぱい見つかる植物です。そしてドイツ人のシーボルトもまたヨーロッパと日本をまたいで波乱の生涯を送ったとても興味深い人物。興味は尽きません。

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2019年6月21日 (金)

安藤忠雄の常設ギャラリー

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 兵庫県立美術館の展示棟とギャラリー棟との間、2Fと3F部分に5月23日オープンした第2展示棟「 Ando Gallery」。安藤忠雄さんのたくさんの傑作建築やプロジェクトが、模型や写真パネルやドローイングなどたくさんの資料で展示されている。企画展ではなく常設の展示ギャラリーです。この写真の真ん中の部分、ガラス張りの吹き抜け空間と2フロアの展示スペース。天井が高く明るくのびのびした空間です。ここ兵庫県立美術館とその周辺の緑地も安藤さんの設計だから、内も外も安藤作品というわけです。

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 出世作の住吉の長屋から光の教会、直島のベネッセハウスミュージアムや地中美術館、そして六甲の集合住宅ⅠⅡⅢⅣなど、代表的な作品が並ぶ。打ちっぱなしコンクリートの素材感と思いがけない発想がぶつかりあって、光の変化と美しい陰影を生み出す、どれも唯一無二の存在だ。そしてこの展示場所も、今回初めて気づいたのですが、いつも歩いている正面入り口に向かう通路の上。迷路のような楽しさがあるこの美術館の、建築としての新しい発見でした。

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 海外の仕事が多い最近の安藤さんの作品で、これは行ってみなきゃ!と思ったのが、ヴェネツィアのプンタ・デッラ・ドガーナ。サンマルコ広場からサルーテ教会を見た手前、その突端に見えている三角の建物が海運国ヴェネツィアのかつての税関。その17世紀の建物を外を補修し内部をリノベーションして現代美術館にしたもの。パリ南西部、セーヌ川のスガン島で実現しなかったピノー財団との作業。パリの仇はヴェネツィアで、というところ。2009年のオープンなのに、まだ行ってなかったのはうかつでした。

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 3Fの海側デッキには高さ約2.5mのFRP製「青リンゴ」のオブジェが。これも安藤さんのデザイン。米国の詩人サムエル・ウルマンの「青春」をモチーフにしたそうだ。ウルマンは「青春とは人生のある期間ではない。心のありようなのだ」と書く。安藤さんもこの青春のシンボルに「目指すは甘く実った赤りんごではない。未熟で酸っぱくとも明日への希望に満ち溢れた青りんごの精神」という言葉を寄せている。老いることを知らない安藤さんからの、いまの日本に対するメッセージなのでしょう。

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2019年6月18日 (火)

印象派からその先へ 展

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 吉野石膏という会社をご存知ですか。名前の通り石膏ボードを作る建材メーカーです。防火壁のTV-CMをご覧になったことがあるかもしれません。その吉野石膏が1970年代から収集を始めたコレクションの展覧会です。意外と新しいコレクションですが、いまや日本有数の規模にまで成長。そのうち19世紀後半から20世紀にかけて描かれたフランス近代絵画を中心にした、28作家72作品の展覧会です。3つの章に分けて、西洋近代美術史がわかりやすく展示されている。

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 第1章は「印象派、誕生 ~革新へと向かう絵画~」 ここではコロー、ミレー、クールベ、マネ、モネ、シスレー、ルノワール、ドガ、ピサロなどの作品が展示されている。ゴッホのオランダ時代の絵も2点ありましたが、観る目がないのかヘタだなぁという印象。(失礼しました)
 第2章は「フォーヴから抽象へ ~モダン・アートの諸相~」 ルオー、ボナール、マティス、ヴラマンク、アンリ・ルソー、ピカソ、ブラック、ミロ、カンディンスキーなど。現代の私たちから見れば、フツーに素晴らしい作品ばかりですが、100年前の人たちはほんとうに驚いたに違いない。ヒトラーから見れば、すべて退廃芸術。

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 第3章は「エコール・ド・パリ ~前衛と伝統のはざまで~」 たしかに美術史の上では進歩の流れの方向性からは、すこし外れる。でも進歩が必ずしも善とは限らない。というか、美術史というのは簡単に理論化できるものではないと思う。ユトリロやローランサンなどがこの章の展示作家ですが、ひときわ輝いているのがシャガールです。1910年頃から1979年の作品まで、なかなか充実しています。これら珠玉のコレクションを、一企業の努力で、しかも半世紀足らずで作り上げたた吉野石膏に感謝の気持ちいっぱいです。

世界に誇る 吉野石膏コレクション
印象派から その先へ
2019年6月1日(土)~7月21日(日)
兵庫県立美術館

 

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2019年6月15日 (土)

ん⁉ これは気になる木です

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 え、この時期にこんな白い花? 何だろう? 兵庫県の三木市。田園地帯をクルマで走っていたら、見たこともない街路樹がずらっと並んでいる。幹の上に入道雲か綿菓子をのっけたような不思議な姿。日本の木じゃないのか? いろいろ調べてみたけどわからない。この道路は県道なので、兵庫県の道路を管理している部署に電話をして教えていただきました。

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 この木はメラレウカ・リナリフォリア。オーストラリア原産の常緑樹でフトモモ科メラレウカ属の植物だそうだ。英語ではスノー・イン・サマー。そう言えば樹冠一面に雪をかぶったようです。初夏の雪景色! フトモモ科はすべて木本で3000種ほどあるという。ユーカリやグアバやフェイジョア、香辛料の丁子(クローブ)やオールスパイスもフトモモ科。わりと暮らしに身近な植物でもあるのです。 

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 ちょっと寄り道ですが、フトモモ科という名称もまた気になりませんか。フトモモ科の植物は世界の熱帯、亜熱帯に分布。特に東南アジアからオーストラリアにかけて多いという。その名前は身体の太ももとは関係なく、中国名「プータオ・プータウ(蒲桃)」が沖縄方言で「フートー」となり「フトモモ」となったという。少し期待ハズレで残念な気もしますが・・・。

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 幹もド迫力のユニークさ。白い綿毛か羽毛のような柔らかな花とは対照的に荒々しい。盆栽の真柏の老木のように樹皮がめくれている、と思って見ていた。でも調べるうちに、その剝がれ具合はユーカリにそっくりだ!と納得。しかも堅そうなその樹皮は指で押すとスポンジのようにへこむらしい。そして針状の細い葉を多数つけるけれど針葉樹ではない。世界にはいろんな植物があるものだ。

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 この前の土日にでも作業されたのでしょうか、ちょうど田植えが終わったばかりの田んぼが広がる。聞けばこの辺りは、かの有名な山田錦の産地。ここに植えてあるのも酒米の王さま山田錦だそうだ。どこにでもある普通の田んぼがありがたく見えてきました。稲穂が黄金色に色づいた時期にも見に来たいもの。その時メラレウカ・リナリフォリアがどのように見えているか楽しみです。

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2019年6月12日 (水)

伝説のファッションデザイナー?

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 ダイアナ妃やサッチャー首相、スウェーデンのシルビア王妃などのためにイブニングドレスを作ってきた鳥丸軍雪 GNYUKI TORIMARU。英国オートクチュール界に大きなインパクトを与えてきたトップデザイナーです。1937年、宮崎県生まれ。59年に日本を出て、ロンドンカレッジ・オブ・ファッションで学ぶ。ピエール・カルダンのアシスタントデザイナーを務めたあと独立。シンプルで洗練された独自のスタイルで作品を発表し、国際的な評価を獲得したスゴイ人なのです。

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 軍雪(ぐんゆき)という珍しい名前からとった、YUKIというブランド名でセレブを魅了。類まれな感性と高度なテクニックで誰もマネできない世界まで到達した鳥丸。やわらかい布を垂らせて流れるような優美なひだを生むドレープの手法で、「ドレープの魔術師」とか「絹の彫刻家」と呼ばれてきた。今回はドレープやプリーツを駆使した代表作を中心に、デザイン画なども含め約80点を展示している。


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 独創的な布のカット、動きに連れて繊細に揺れる美。予想以上のすばらしさです。要素をできるだけ減らしたシンプルなデザインながら、優美さと気品を兼ね備えた完璧なアートです。ただし芸術作品のような服って着る人も選ぶでしょうね。でもオートクチュールだから、着る人それぞれに合わせてデザインも考えてもらえるでしょうから大丈夫か。とかなんとか、何が大丈夫なんだか⁉

伝説のファッションデザイナー
鳥丸軍雪 展
2019年4月13日(土)~6月23日(日)
神戸ファッション美術館

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2019年6月 9日 (日)

F.L.ライトのディテール

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 芦屋の丘の上、ゆるやかな南斜面に建つヨドコウ迎賓館(旧山村家住宅)へ行ってきました。桜正宗の8代目 山邑太左衛門から依頼を受け、1918年にライトが設計した傑作住宅。弟子の遠藤新や南信によって竣工されたのは、ライトが帰国後の1924年のこと。「自然と建築の融合」という理想を追求し続けた巨匠の「らしさ」が詰まっている。

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 1階は車寄せと玄関。2階に市街地を眺望する応接室。3階は畳敷きの和室や寝室など。4階に食堂と厨房。そして広い屋上バルコニーからは六甲の山並みと大阪湾が一望できる。丘の自然な傾斜を生かした階層の配置。自然光をうまく取り入れ、風の通りを考え、快適に暮らすためのさまざまな工夫。その後の住宅建築に多大な影響を与えた。

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 このころのライトの建築は直線で構成された幾何学的な美しさが際立っていた。旧帝国ホテル(現在 玄関部分が明治村で保存)や自由学園と同じく、伸びやかな水平方向のラインを基本に、リズミカルな縦の線が交わる。これらはデザイン面だけではなく、構造的にも優れていて建築物としての十分な強度を保証した。それは関東大震災に遭った帝国ホテルの無事で証明されたのです。

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 ライト建築で使われる素材で特徴的なのは石や木や鉄や銅。日本での建築で特に愛用したのが大谷石。うっすら緑がかった薄茶色で、多孔質の独特な風合いが美しい。栃木県で採掘されていた軽石凝灰岩で、柔らかく加工しやすいため柱にも幾何学的な文様を彫刻してよく使っている。それは屋外に限らず、屋内でも。木の棚や家具も、建築的なデザインが秀逸です。

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 テーブル、椅子、違い棚、照明器具なども独自にデザイン。また施主の希望だったのでしょう、畳敷きの和室もありますが、明り取りの窓や欄間、ふすまの取っ手金具などもこの邸宅用にデザインされている。日本の伝統を尊重しながらも、独自の美意識を発揮している。細部までこだわるライトの面目躍如です。保存修理工事が終わってから初めての訪問。また新たな発見がありました。

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2019年6月 6日 (木)

スーパー狂言って?

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 横尾忠則現代美術館で開催中の「笑う横尾忠則」展で、とても興味深かったのは『スーパー狂言』関連の展示。2002年から2003年に上演されたそうですが、当時はまったく知らなかった。お恥ずかしい限りですが、伝統芸能にまったく関心がなかったので。さて国立能楽堂委嘱作品『スーパー狂言』三部作は、原作:梅原 猛 演出:茂山千之丞 美術:横尾忠則 で創作された新作狂言なのです。

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 『ムツゴロウ』では自然破壊。『クローン人間ナマシマ』では科学技術。完結編の『王様と恐竜』では核戦争をテーマに、笑いを通して人間の愚かさをえぐり出した三部作。展覧会場では公演ポスターをはじめ、装束や小道具などさまざまなアイテムが展示されている。上演のDVDも流されています。21世紀のテーマと現代専門用語、それらに伝統的な狂言の所作やせりふ回しが妙にマッチ。おもしろい間を作っている。

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 シャガールやホックニーもオペラや芝居の舞台美術を手掛けているように、アーティストにとって舞台美術やコスチュームのデザインはものすごくやりがいのある仕事に違いない。自分のイメージが動き、演技し、ときに予想以上の効果を上げる。横尾さん自身の頭や手で完結しない世界。新しい発見や幸福な刺激に満ちあふれた、それこそ笑いが止まらない経験だったのではないでしょうか。

人食いザメと金髪美女―笑う横尾忠則展
2019年5月25日(土)~8月25日(日)
横尾忠則現代美術館

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2019年6月 3日 (月)

なにを笑う?横尾忠則

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 驚く!笑う!混乱する!惹き込まれる! いま横尾忠則のユーモアやウイットに焦点を当てた展覧会が開かれている。無邪気な遊び心と毒を作為的に散りばめ、観客を挑発するヨコオワールド。ポスターにもなっているこの作品、「Panic ぱにっく パニック」というタイトルですが、人食いザメも金髪美女も歯を見せて笑っている。下に横たわっている男も笑っている、しかもオチンチンを立てて。大笑いする顔にも背景にも、「ぱにっく」の文字がぎっしり。人を食ってるのか、ああ大変な時代だ!と警告しているのか。

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 批評家精神あふれるパロディもおもしろい。横尾さんのスゴイところは自らの過去の作品を何度もリメークし、パロディのネタにしているところ。自分自身が生み出したいわば分身のような作品さえも、笑い飛ばしている。客観的に冷徹に見る目と、深く熱い思い入れの奇妙なバランス。これは横尾作品を考えるうえで重要なポイントではないでしょうか。ポップで、土俗的。作品創造にいっさい制約を設けずチャレンジしていく。成功した自らのスタイルさえも踏み越えて、新たな世界を生み出す。

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 過去の敬愛するアーティスト、たとえばアンリ・ルソーの作品をパロディの手法でいくつも新しい作品によみがえらせている。その多くはブラックユーモアだけど。19世紀末から20世紀初頭にはたぶん想像もできなかった社会状況があらわれている現代。「ルソーが今生きていたら」的な遊び心がいい。『フットボールをする人々』や『正確な寸法で描かれたルソー像』や『眠れるジプシー女』など、大笑い出来ました。ところで、横尾さんはこんな風に観ている観客を、シニカルに笑い飛ばしているのかなぁ。

人食いザメと金髪美女―笑う横尾忠則展
2019年5月25日(土)~8月25日(日)
横尾忠則現代美術館

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