台所から見る地理と歴史
人間の歴史で住まいとは寝るための場所であり食べるための場所でありました。洞窟で暮らした時代からその基本は変わらない。建築家の宮崎玲子さんは半世紀にわたり、世界の約50ヶ所の伝統的な台所を調査しておもしろい事実を発見したという。その成果が、大阪グランフロント LIXILギャラリーで開催中の「台所見聞録」展のひとつめの見どころ。以下にご紹介するのは、北緯40度を境に北と南では「火」と「水」の使い方に違いがあることを説明するパネル展示です。(スミマセン、下手な写真で見にくいです)
北は鍋を吊り、南は鍋を置く文化圏だという。世界地図にプロットした青い丸印は「吊る」文化。オレンジ色の丸印は「置く」文化。なるほど、日本でも東北地方などはオレンジ色で囲炉裏の上に鍋を吊る地域ですね。さらに北では水を使うことが少ないので流しが主役にならず、南では洗う頻度が高いので台所の設えは大量の水を使うことを前提にしている。イヌイット、ドイツ、ロシア、インド、ネパールなどの住まいを1/10スケールで再現した精巧なミニチュアハウスも見ごたえがあります。
この展覧会のもうひとつの見どころは、日本の台所の近代化についての展示です。日本では住まいや暮らしは明治から昭和にかけて西洋の影響を受けて大きく変わってきました。なかでも激変したしたのが台所。その当時「立働」「衛生」「利便」という3つの理念が台所改革のテーマだったそうだ。そして1950年代に現れた公団住宅のステンレス流し台が、現在へと続く大きな方向性を決めたという。食べるために必須である台所について、地理的にも歴史的にもとても興味深い展覧会でした。
台所見聞録 ー 人と暮らしの万華鏡 ー
2019年3月8日(金)~5月21日(火)
LIXILギャラリー
大阪グランフロント南館タワーA12F
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