春の雪、なごり雪
「記憶にないほど雪の少ない年だった」と、奈川の人たちも言うぐらい今年は記録的暖冬だったのかもしれません。スキー場関係者はあきらめ顔、関係ない村の人たちは雪かきが少なくて良かった、良かった。ま、あらゆることが立ち位置を変えれば見方が変わるという例証でしょうね。
スキーシーズンは早々と終わりを迎えそう、と思っていたら・・・なんと私たちが奈川についた夜から雪が降り始めました。しかしその雪も翌日昼ごろに止み、根雪になることはありません。もう春なんだ。『春の雪』。三島由紀夫の耽美的な世界ではありませんが、いつもの奈川のサラサラ雪とは違って水分を含んだしっとり重みのある雪。
樹の枝に降り積もっても風でサッと飛んでいくパウダースノーではなく、「どうぞ写真を撮ってください」と言わんばかりの雪の様子。枝も重く垂れている。冬の初めと冬の終わりにしか見られない風景。こんな湿った雪は積もるのが早い。見る見るうちに白い世界に変わる。残念ながら結晶は本でよく見るシンプルな美しさではないと思う。
もう一つ思い出すこの時期の雪。イルカの『なごり雪』では、「東京で見る雪はこれが最後ね」とさみしそうに君がつぶやいたけれど、信州の雪はまだまだ最後ではないハズだ。なごり雪は降る時も降る場所も知っているのだ。そうだ!君が去年よりずっときれいになるのを,春は待っているのだ。
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