不思議の国のアリスたち
ルイス・キャロルの名作「不思議の国のアリス」にまつわる展覧会が、兵庫県立美術館で開催されている。誕生から約150年。すでに170の言語に翻訳され、毎年途切れることなく世界で出版され続けています。でも英語特有の韻や言葉遊びがいっぱいの物語なので、ほかの言語には翻訳できないだろうと初版当初は言われたそうです。その困難を作品の魅力が大きく上回った、ということ。キャロルの妄想力の勝利です。
そして何人もの画家が挿絵を描き、その美術のクオリティでも人気を呼んでいる。ストーリーの面白さ+アートの美しさ。いろんな解釈ができるところがアーティストの想像力を刺激し創作意欲をかきたてるのでしょう。なかでもチャールズ・サントーレが水彩で描いたシリーズがとても気に入りました。それにサルヴァドール・ダリやマリー・ローランサンまでが描いているのは初めて知った。驚きました。
やはり作品化する素材として、料理し甲斐があるということ。現代の美術家がアリスをよくテーマに取り上げるのも、同じ理由なのでしょう。草間彌生のシルクスクリーンや清川あさみの立体作品、エリック・カールのアクリル、山本容子のエッチング、ウラジミール・クラヴィヨ=テレプネフの写真etc。多種多様な表現手法で今も生み出し続けられる不思議の国のアリスたち。ほこりをかぶった古典ではないのです。
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