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2019年3月 8日 (金)

生と死と、記憶と祈り

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 クリスチャン・ボルタンスキーの[ Lifetime ]と題された大規模な展覧会が国立国際美術館で開催されている。美術館では彼の意図が伝わらないんじゃないか?と危惧していたけれど、さすがボルタンスキー。狭い閉鎖空間ながら、ちゃんと彼独自のアートな世界が展開されている。彼の複雑な頭の中を巡る迷路なのか、と思わせる会場構成。

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 ボルタンスキーは越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭で、いくつも作品を観てきた大好きなアーティスト。2012年にキナーレで観た古着を使った巨大なインスタレーションや2013年に豊島で体験した心臓音のアーカイブ、2018年の廃校になった小学校の最後の教室など、いまでも深く印象に残っている。それらの作品に関連付けられるものも多数ありました。

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 今回の展示は80年代、90年代からの作品も集められている。ナチスのホロコーストを想起させる肖像写真の羅列。古い記憶を祀った教会の祭壇のような立体作品。パタゴニアやカナダの雪原に無数の風鈴を立てて撮影した映像作品。ほんとに手法を選ばず、おもしろいと思ったら何でもやってしまう。そしてそれがまったく新しい美を生む。現代アートの巨匠たるゆえんだ。

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 この展覧会ために製作されたという、「黒いモニュメント、来世」もおもしろい。真っ黒な四角い柱がいっぱい建てられたスペースに、来世の電飾。電線はその前に垂れている。黒い墓標あるいは廃墟になったビル群といっしょに、世界の終末を考えさせる。会場を出るとき、大阪のオバちゃんらしき二人連れがしゃべっていた。「ようわからんかったね。あっ、これアートちゃう?」 なんだと思って来たのでしょうね。

クリスチャン・ボルタンスキー
Lifetime

2019年2月9日(土)~5月6日(月)
国立国際美術館

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