2018年1月25日 (木)

最後の浮世絵師、芳年

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 江戸末期から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年。浮世絵が廃れつつあった時代に、もっとも成功した絵師であることから『最後の浮世絵師』と称される。神戸ファッション美術館でいま開催中の展覧会の紹介です。
 歌川国芳に入門して浮世絵を学んだ芳年は、時代の変遷に合わせて西洋画の画法も習得し、人物描写や構図、色彩構成に近代的なセンスを発揮。現代の目から見ても、とても斬新でおもしろい。

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 驚いたのはデッサンや下絵だ。メチャクチャ上手い。その写実的な描写力があるからこそ、歴史画、役者絵、美人画、物語絵など、手掛けた幅広いジャンルの作品がどれも素晴らしいのだ。遠近法や陰影のつけ方も取り入れたリアルな表現力で、グロテスクな無残絵シリーズをたくさん描き、『血まみれ芳年』とも呼ばれたという。ここで作品画像をお見せするのもはばかれるほど、怪奇で残酷な作品群だ。でもスゴイ!

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 躍動感あふれる大胆な構図、効果的な色使い。決定的瞬間をとらえた戦闘シーンは、SFXを駆使したハリウッドの超大作を見るようです。これだけ画力のある作家をあまり評価してこなかったのは、やはり血まみれが疎まれたのでしょうか。師匠の『武者絵の国芳』ともども、これからもっともっと見直されてくると思います。現代の漫画や劇画へと続く、直接の源流として位置づけられる『芳年』。クールジャパンの先駆けですね。

芳年 YOSHITOSHI
躍動の瞬間と永遠の美
2018年1月13日(土)~3月11日(日)
神戸ファッション美術館

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2018年1月22日 (月)

神戸港の戦前戦後

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 神戸港開港150年記念の特別展として、神戸ゆかりの美術館で昨年11月から開催されている「神戸港コレクション ~よみがえった戦後風景~」を見てきました。1868年の開港以来、神戸及び港湾の風景は大きく変わる。そして異国情緒あふれる明るいモダニズム都市として、画家や写真家を魅了してきたと解説されている。
 この展覧会は油彩画、日本画、水彩画、版画、写真など、地元作家の作品を中心に港の発展を振り返る企画。あわせて約200点が展示されている。

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 見どころは半世紀以上も所在がわからなかった川西英の「新神戸百景」。川西英と言えば1933年~36年に製作された木版画シリーズ「神戸百景」が有名だ。いまも観光絵ハガキや洋菓子店のパッケージに使われている。そして今回展示されている『新』は、1952年~53年に神港新聞社が戦災復興を遂げた神戸の姿を川西に依頼して描いてもらった水彩画だ。

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 これらの作品は諸事情からお蔵入りとなり、人々の目に触れる機会がなかったもの。2016年春に発見され、神戸市に寄贈されたそうだ。生き生きと描かれた神戸の街は、幼いころのにおいがします。神戸の人たちがいまも愛する神戸らしい絵。川西英の屈託のなさがよく表れていますね。

神戸港コレクション
~よみがえった戦後風景~
2017年11月18日(土)~2018年2月18日(日)
神戸ゆかりの美術館

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2018年1月16日 (火)

フィンランドの清楚な木工展

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 木の美しさを最大限に生かすシンプルでモダンなデザイン。北欧家具と言えばデンマークと思っていたが、森と湖の国フィンランドの木工製品も素晴らしい。木の質感を大切にし、余分な要素を極限までそぎ落としたミニマルな姿。デンマークデザインより歴史は浅いけれど、日本人の美意識により近い感性が感じられる。素朴で清楚で洗練されている。これは新しい発見でした。

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 いま新神戸の竹中大工道具館で開催中の「木の国フィンランドの伝統と革新」展。サブタイトルは「工芸村フィスカルスとニカリの物語」。フィスカルスは地名、ニカリは会社名だ。この芸術家コミュニティに住む木工作家たちが今回作品を出品している。彼らにはサーリネンとアルヴァ・アアルトという二人の巨人から続くフィンランド・デザインの方向性が脈々と息づいているように見える。

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 北欧デザインの中でもフィンランドはとりわけシンプルでストイック。でも決して冷たくはなく、どこかほっとする優しさと温かさがある。こんなユーモアを感じさせる椅子もありました。フレームに淡い色のバーチ材、座面には暗色と明色のコントラストが鮮やかなアッシュの心材。柔らかい布張りシートだとばかり思っていたけれど、よく見るとここも木なのです。遊び心と技術の高さが見て取れるでしょ。

木の国フィンランドの伝統と革新
工芸村フィスカルスとニカリの物語
2017年12月16日(土)~2018年2月18日(日)
竹中大工道具館

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