2018年3月25日 (日)

神戸もソメイヨシノ開花宣言

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 23日(金)に神戸海洋気象台がサクラ(ソメイヨシノ)の開花宣言をしました。平年より5日、昨年より11日早いそうだ。神戸の場合、王子動物園にある標準木で5輪咲いているのを確認したら宣言を出すという。気象台の職員が目で確かめる。東京は3月17日に開花。こちらは靖国神社に標準木がある。

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 ソメイヨシノは江戸時代末期にオオシマザクラとエドヒガンザクラを交配して作られた樹種で、自己繁殖力はない。だから挿し木や接ぎ木で増やす。つまり全国の公園や街路樹でふつうに見られる「サクラ」は、すべて遺伝子が同じ。クローンなのです。しかし同じ遺伝子だといっても個体差はあるようで、並んで植えられていても開花の時期は少しずつずれる。だから気象台も毎年同じ標準木を観察して、開花宣言を出す。

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 今年はいつもより早く咲き始めたソメイヨシノ。満開まではあと1週間ぐらいでしょうか。この暖かさだと、もっと早まるかも。それに対して、いま満開なのがレンギョウやユキヤナギ。ま、これらはサクラより花期が長く、ながらく目を楽しませてくれる。悪く言えばだらだらと咲き続ける。あまり感動が強くない。インパクトが弱いのですよ。

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 サッと咲いてサッと散る潔さが愛でられるソメイヨシノは、成長は早いけれど寿命が短い。わずか60年の命。ヤマザクラなら樹齢300年や500年、なかには1000年以上のものまで生きているというのに。やはり自然の力にはかなわないのでしょう。でも人工か自然かなんてどうでもよくて、この時期になると気分が高揚します。花見、花見と騒ぐのは日本人だけらしいけど、やはりいいものですね。

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2018年3月15日 (木)

新作は「謎の女」シリーズ

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 今回の展覧会のために昨年と今年に描かれた新作が21点。「謎の女」と題されたシリーズです。描かれた女性は、すべて顔が隠されている。顔の中でもいちばん見たい眼元が見えない。その人の人格や魅力を決定づける要素は、顔や姿や服装だ。なかでも最大の要素は眼だと思う。それだけが見えないことへの苛立ち、その喪失感。

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 「謎の女」は女性のポートレート・シリーズだが、トイレットペーパーやキャベツ、石やカエルなど、まるで関係のない物質で唐突に覆い隠される。それによって私たちが無意識に判断する、優しそうな人、高慢な人、気品のある人、などという属性があいまいになり、不可解な謎の人になってしまう。死後のもう一つの世界の住人は、このようなあいまいな存在なのだろうか。

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 もうひとつ、顔が見えない、あるいは見せないことの意味を考えさせられる作品がある。髪の毛やヴェールで顔は隠れているが、服をはだけてこれ見よがしにオッパイを見せている。このギャップがとてもおもしろい。実体としての肉体は存在するけれど、人格(魂)はそこにはない。まるで「この世」と「あの世」に片足ずつかけているかのよう。横尾さんはこのような回路で、こっち側とあっち側を行き来しているのでしょうか。

横尾忠則の冥土旅行
Jouney to the Next World
2018年2月24日(土)~5月6日(日)
横尾忠則現代美術館

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2018年3月12日 (月)

横尾忠則さんの冥土旅行?

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 「人は死んだらどこへ行くのか?」 誰もが必ず迎える死、でも誰も知らない死後の世界。昔からあらゆる宗教家や哲学者が想像をめぐらし、さまざまなイメージを提示してきたあの世。横尾さんは普通の人以上に死に対する関心が深かった。若いころからずっと彼の作品には死の影と生の喜びが裏表の関係で表現されてきた。そしてダンテの『神曲』を愛読し、ウイリアム・ドレイクやギュスターブ・ドレの挿絵にインスピレーションを受けて作品に引用したりもしている。地獄、煉獄、天国を旅する物語。

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 死のイメージが漂う赤のシリーズの原点は、少年時代に故郷・西脇で見た神戸大空襲で燃える夜空だそうだ。真っ赤に染まった山の向こうの遠くの空。美しく妖しく不気味に見えた印象が強烈だったようで、繰り返し妖しい赤が現れ観る者を不安にさせる。描かれたモチーフが牛若丸と弁慶やシンドバッド、モーツァルトターザン、宇宙蛍や暗夜行路だったとしても、幼いころから身近に感じていた死後の世界が色濃く反映されている。それはかけ離れた世界ではなく、現実のすぐ隣にある、どこか心休まる場所。行ってしまうと帰れない「冥土への旅」ではなく、行きつ戻りつしながら楽しむ「冥土旅行」。そんな旅行代理店ができると繁盛するでしょうね。

横尾忠則の冥土旅行
Jouney to the Next World
2018年2月24日(土)~5月6日(日)
横尾忠則現代美術館

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2018年3月 1日 (木)

アイヌの魂を彫る藤戸竹喜

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 現れよ。森羅の生命 ー とサブタイトルのついた展覧会 『木彫家 藤戸竹喜の世界』が、国立民族学博物館で開催されている。観光土産のクマを彫る職人・藤戸竹喜が、オリジナルの彫刻作品を作るようになって40数年、見事に才能を花開かせた。クマやオオカミ、エゾジカ、ウサギ、シャチやラッコ、そして先祖たち。自然と共に生きたアイヌ民族のアイデンティティーと誇りをカタチに表している。

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 クマもオオカミも尊敬の対象であり、彼らも人間に危害を加えることはなかった。それが明治以降、本州から人がいっぱい入ってきて原野や森を開拓し、生活圏がダブるようになってしまった。その結果オオカミは害獣として明治半ばに絶滅させられた。動物も植物も、こうして自然は人間あるいは文明化の犠牲になる。世界中で起こったことと同じ。アイヌの文化も犠牲になっている。

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 木彫に使う材料も、クルミ、イチイ、シナ、エンジュ、クス、ウォールナット、ニレの埋もれ木など、北海道に生える木を多彩に使っている。これにも意味があると思う。サブタイトルにもあるように、作家は森羅万象あらゆる生命を讃える作品を作り続けているのだ。ここには生きる喜びや悲しみ、怒りや諦めが現れている。自然とは何か? 人間とは何か? 文明とは何か?

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 決まったポーズの観光客向けの熊を彫り続けるだけでは飽き足らず、新しい表現世界に踏み出した藤戸竹喜。すべて一本の木から彫り出される約90点の作品には、アイヌ民族の歴史と魂がこもっている。それだけにとどまらず、私たちすべての問題を含んでいるから感動を受けるのでしょう。まだまだお元気に制作を続けていってほしいと願っています。

現れよ。森羅の生命 ー
木彫家 藤戸竹喜の世界
2018年1月11日(木)~3月13日(火)
国立民族学博物館

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2018年2月26日 (月)

園川絢也のキラメク・にょきランド

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 堺市役所の1Fロビーや市民交流広場「Minaさかい」、そして21F展望ロビーでスタートした園川絢也展。展覧会とアーティスト・トークに行ってきました。『キラメク・にょきランド』という園川語炸裂の展示です。主催:堺市 後援:堺市教育委員会・堺美術協会 なんかお堅い感じを抱かれるかもしれませんが、まったく堅くない。メルヘンチックというか漫画チックというかSFチックというか。色鮮やかな巨大アメーバがどんどん増殖して、ハッピーにカラフルにお役所やわらか革命を起こしている。

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 これらの園川作品は、大量の木工ボンドに絵の具を混ぜて色を付け、ビニールシートの上に垂らして作られる。そしてピアノ線などで組んだ骨組みに巻き付けて、触るとふにゃふにゃしたソフトな立体造形に仕上げる。それを上から吊り下げたり、壁に這わせたり、床から立ち上げたりして、空間を独特の世界に変質させる。石や鉄を使った彫刻より軽いし、大きさもカタチも自由に柔軟にイメージを追求できるのだ。

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 ワークショップも行われ、ボンド生地を使って子どもたちも楽しくコラージュ作品をつくっている。作品は会期中この会場に展示される。また家に持ち帰って「にょきにょき」を飾るのもよし。堺の街中にアートのタネがまかれ、にょきにょきと成長していくといいですね。アーティスト園川絢也さんの今後の活躍への期待がますます高まる、気持ちがワクワクする展覧会でした。

園川絢也展
『キラメク・にょきランド』Minaさかい

2018年2月25日(日)~3月10日(土)
堺市役所 堺市市民交流広場 高層館21F展望ロビー

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2018年1月25日 (木)

最後の浮世絵師、芳年

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 江戸末期から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年。浮世絵が廃れつつあった時代に、もっとも成功した絵師であることから『最後の浮世絵師』と称される。神戸ファッション美術館でいま開催中の展覧会の紹介です。
 歌川国芳に入門して浮世絵を学んだ芳年は、時代の変遷に合わせて西洋画の画法も習得し、人物描写や構図、色彩構成に近代的なセンスを発揮。現代の目から見ても、とても斬新でおもしろい。

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 驚いたのはデッサンや下絵だ。メチャクチャ上手い。その写実的な描写力があるからこそ、歴史画、役者絵、美人画、物語絵など、手掛けた幅広いジャンルの作品がどれも素晴らしいのだ。遠近法や陰影のつけ方も取り入れたリアルな表現力で、グロテスクな無残絵シリーズをたくさん描き、『血まみれ芳年』とも呼ばれたという。ここで作品画像をお見せするのもはばかれるほど、怪奇で残酷な作品群だ。でもスゴイ!

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 躍動感あふれる大胆な構図、効果的な色使い。決定的瞬間をとらえた戦闘シーンは、SFXを駆使したハリウッドの超大作を見るようです。これだけ画力のある作家をあまり評価してこなかったのは、やはり血まみれが疎まれたのでしょうか。師匠の『武者絵の国芳』ともども、これからもっともっと見直されてくると思います。現代の漫画や劇画へと続く、直接の源流として位置づけられる『芳年』。クールジャパンの先駆けですね。

芳年 YOSHITOSHI
躍動の瞬間と永遠の美
2018年1月13日(土)~3月11日(日)
神戸ファッション美術館

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2018年1月22日 (月)

神戸港の戦前戦後

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 神戸港開港150年記念の特別展として、神戸ゆかりの美術館で昨年11月から開催されている「神戸港コレクション ~よみがえった戦後風景~」を見てきました。1868年の開港以来、神戸及び港湾の風景は大きく変わる。そして異国情緒あふれる明るいモダニズム都市として、画家や写真家を魅了してきたと解説されている。
 この展覧会は油彩画、日本画、水彩画、版画、写真など、地元作家の作品を中心に港の発展を振り返る企画。あわせて約200点が展示されている。

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 見どころは半世紀以上も所在がわからなかった川西英の「新神戸百景」。川西英と言えば1933年~36年に製作された木版画シリーズ「神戸百景」が有名だ。いまも観光絵ハガキや洋菓子店のパッケージに使われている。そして今回展示されている『新』は、1952年~53年に神港新聞社が戦災復興を遂げた神戸の姿を川西に依頼して描いてもらった水彩画だ。

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 これらの作品は諸事情からお蔵入りとなり、人々の目に触れる機会がなかったもの。2016年春に発見され、神戸市に寄贈されたそうだ。生き生きと描かれた神戸の街は、幼いころのにおいがします。神戸の人たちがいまも愛する神戸らしい絵。川西英の屈託のなさがよく表れていますね。

神戸港コレクション
~よみがえった戦後風景~
2017年11月18日(土)~2018年2月18日(日)
神戸ゆかりの美術館

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2018年1月16日 (火)

フィンランドの清楚な木工展

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 木の美しさを最大限に生かすシンプルでモダンなデザイン。北欧家具と言えばデンマークと思っていたが、森と湖の国フィンランドの木工製品も素晴らしい。木の質感を大切にし、余分な要素を極限までそぎ落としたミニマルな姿。デンマークデザインより歴史は浅いけれど、日本人の美意識により近い感性が感じられる。素朴で清楚で洗練されている。これは新しい発見でした。

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 いま新神戸の竹中大工道具館で開催中の「木の国フィンランドの伝統と革新」展。サブタイトルは「工芸村フィスカルスとニカリの物語」。フィスカルスは地名、ニカリは会社名だ。この芸術家コミュニティに住む木工作家たちが今回作品を出品している。彼らにはサーリネンとアルヴァ・アアルトという二人の巨人から続くフィンランド・デザインの方向性が脈々と息づいているように見える。

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 北欧デザインの中でもフィンランドはとりわけシンプルでストイック。でも決して冷たくはなく、どこかほっとする優しさと温かさがある。こんなユーモアを感じさせる椅子もありました。フレームに淡い色のバーチ材、座面には暗色と明色のコントラストが鮮やかなアッシュの心材。柔らかい布張りシートだとばかり思っていたけれど、よく見るとここも木なのです。遊び心と技術の高さが見て取れるでしょ。

木の国フィンランドの伝統と革新
工芸村フィスカルスとニカリの物語
2017年12月16日(土)~2018年2月18日(日)
竹中大工道具館

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