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2018年12月 6日 (木)

ガンジス河の「解脱の家」

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 死期を悟り、安らかな死を求める。でも、そんなことが可能なのか? ガンジス河の畔、聖地バラナシにある施設「解脱の家」。幸せな最期を迎えるために、人々が静かにおだやかに暮らす場所です。映画『ガンジスに還る』、オリジナルタイトルは『HOTEL SALVATION』。直訳すれば、救いのホテルあるいはホテル救済。それを解脱の家とはうまい訳だ。

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 インドは家長=父親の権力が絶大だと聞いたことがある。そしてヒンドゥーの教えによる独特な死生観。私たちにはよく理解できない価値観の中で物語は始まる。その父親が死期を悟り、家を出てこの解脱の家へ行くと言い出す。仕事人間の息子も仕方なく付き添うことになる。頑固な父親と合理主義者の息子。初めは衝突ばかりしているが、次第にわだかまりがほぐれていく。
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 旅立つ者、見送る者。どちらにもそれぞれの思いがあり生活がある。その感情の機微を繊細に丁寧に描写して、家族の強い絆を浮き彫りにする手腕は見事だ。父、息子、その妻、孫娘、そして施設で暮らす人々。淡々と、泰然と、死と向かい合う。そして体の機能が止まり、魂が抜け出すのを解脱というのでしょうか。キリスト教徒の欧米人よりは、分かる気がする。看取る側もたいへんだと思いましたが、最後を共に生きることは共に死ぬことでもあるのでしょう。

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 温かさと優しさが満ち溢れたこの感動作の監督・脚本はシュバシシュ・ブティアニ。なんとまだ27歳の新鋭だそうだ。「死」という重いテーマを、ユーモアを交えながら小津安二郎が描いたような人情味あふれる物語に仕上げている。まるで老練なベテラン監督のようだ。
 聖地バラナシはインド国内外から多くの信者、巡礼者が訪れるヒンドゥー教の一大聖地。インドの人々にとってこの地で人生の最後を迎えることは、最大の喜びと言われているそうです。

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