エコール・ド・パリの藤田嗣治
藤田嗣治の没後50年と題した大規模な回顧展が、京都国立近代美術館で開催されている。乳白色の下地に面相筆で繊細に描かれた黒い線。透き通るような真珠色に輝く高貴な裸婦は、華々しく活躍していた時代の、フジタの代名詞です。
ヨーロッパが第一次世界大戦の痛手から立ち直ってきて、第二次大戦に至るまでの短い時期に花開いたエコール・ド・パリの寵児として、モディリアーニやシャガールとともに新しいアートを切り開いていく。後から見れば、このころが彼の絶頂期かも。
肖像画の依頼などもたくさん舞い込み、自信にあふれた作品を多数残している。西洋絵画の技法と日本絵画の特性をうまく調和させた独自のスタイル。まさに「私は世界に日本人として生きたいと願う」という彼の言葉そのものを体現している。
そんな藤田だからこそなのだろうか、北米、南米を旅したあと日本に帰国してから戦争画に情熱を傾けた時期がある。確かな描写力はさすがですが、彼独特の優美さや高貴さはない。愛国の空気に染まってしまったんでしょうが、後に大いに批判されることになる。
没後50年
藤田嗣治展
2018年10月19日(金)~12月16日(日)
京都国立近代美術館
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