藤田からFOUJITAへ
戦争画を描いたことで批判された藤田嗣治。戦後ほどなくパリへ戻ってしまう。そして1955年にフランス国籍を取り、1959年にはカトリックの洗礼も受けてレオナール・フジタとなる。「私の夢」と題された作品は、さまざまな動物に囲まれた涅槃図のように見えて象徴的だ。
パリのカフェで物思いにふける女性像。乳白色の下地や墨で描く繊細な輪郭線も復活している。この作品は額縁も藤田の作だ。彼は額縁だけでなく、自分の服や帽子、机や装飾木箱など、身の回りのさまざまなモノを手作りしている。自分のことを芸術家ではなく職人と呼んでいたらしい。
洗礼を受けた後、敬虔なカトリック信者になったフジタは礼拝堂の設計と内装デザインも手掛ける。シャンパーニュ地方のランスにあるフジタ礼拝堂で、1968年の死後そこに埋葬された。聖母マリアを礼拝するフジタ夫妻の姿が描かれている作品もおもしろい。藤田を捨てFoujitaになった姿がそこにある。
没後50年
藤田嗣治展
2018年10月19日(金)~12月16日(日)
京都国立近代美術館
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