パリに魔法をかけたポスター
1920年代から30年代のアートを代表するカッサンドルと並んで、フランスを代表するポスター美術の巨匠レイモン・サヴィニャック(1907~2002年)。第二次世界大戦が終わった後のパリの人々を明るいユーモアで魅了しました。復興、発展を予感させる彼の楽天的な世界観は、きっと前へ進む勇気を与えたに違いない。
シンプルで明快なイラスト、インパクトのあるビジュアルアイデアで街を歩く人々に新鮮な驚きを与えたサヴィニャック。彼は商品に命を吹き込むことに成功し、それが20世紀後半の広告ポスター表現に新たな時代を切り開くことになった。伝えるメッセージは一つ、余分なことは言わない。研ぎ澄まされた一点にすべてを集約する。それが彼のスタイル。
筆で勢いよく描かれた動物や子ども。奇抜な絵柄に一瞬驚いて、意味が分かってクスリとする。エスプリの効いた巨大なポスターが貼られたパリの街は、さぞ楽しかったことでしょう。オシャレな街角の景観の一部になっている写真も展示されている。人々をハッピーな気分にした彼は、まるでアートの杖を持つ魔法使いのよう。
そしてサヴィニャックの作品は、フランスだけではなく世界中のアーティストやデザイナーに大きな影響を与えました。日本でも森永ミルクチョコレート(1958年)やサントリービール(1979年)、としまえんプール(1989年)のポスターなどが彼の作。原画やSPツールも含めて質の高い200点以上を兵庫県立美術館で鑑賞できます。
サヴィニャック
パリにかけたポスターの魔法
2018年10月27日(土)~12月24日(月)
兵庫県立美術館
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