不良在庫ではありません
在庫一掃大放出と言っても、決して不良在庫ではありません。たまたま今までの企画展では登場の機会がなかっただけ。これらの作品からは、横尾さんの新しい魅力を発見したり、意外な一面に出会えたりするからかえっておもしろい。どれだけ多彩に、どれほど大量に作品を制作してきたかの結果で、あらためてその量と質に圧倒されます。
キャンバスに鏡を張り付ける。額縁に照明を埋め込む。キャンバスを切り刻んで貼り付ける。同じモチーフをいろんなスタイルで描き分ける。などなど。実験や試行錯誤の途中経過までさらけ出す行為そのものがアートだという信念がうかがえる。自身の到達点に一刻も安住することなく、つねに新しい表現にチャレンジしてきたからこそできたもの。
聖と俗が混然一体となった作品世界。誕生と死のイメージが氾濫する横には、ユーモアが潜んでいる。まるで呼吸するように、あるいは排泄するように、日々好奇心のおもむくままに森羅万象を描いてきた横尾忠則。テーマを特定しない今回の展覧会は、この作家の巨大さを一番うまく表しているのかもしれない。
横尾忠則
在庫一掃大放出展
2018年9月15日(土)~12月24日(月)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
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